【大韓航空007便撃墜事件】(だいかんこうくうぜろぜろななびんげきついじけん)

1983年9月1日、大韓民国(韓国)のフラッグキャリア・大韓航空の旅客機ソ連防空軍戦闘機によって撃墜された事件。

被害機はB747-230旅客機登録記号HL7442。
事件発生当日にニューヨーク発・アンカレッジ経由ソウル行きの007便として飛行していたが、航路を逸脱してソ連領空へ侵入。

証言可能な生存者がいないため、航路を逸脱した原因は不明。
慣性航法装置の故障、ないしパイロットの人為的ミスであったと推定されている。

ソ連当局は同機をアメリカ空軍偵察機と判断し、対領空侵犯措置を発令。
Su-7/Su-15/MiG-23など戦闘機スクランブル発進し、ほどなく領空侵犯機を目視内射程に捕捉。
機関砲による警告射撃が行われたが、反応がなかったため空対空ミサイルが発射され、被害機の尾翼に命中。
被害機は操縦不能状態に陥り、海上に墜落して爆発四散。乗客240名・乗員23名・デッドヘッド6名の全員が死亡した。

事件発覚後、当該機が旅客機であったと主張するアメリカと、スパイと断じるソ連との冷戦宣伝戦めいた様相を呈した。
最終的には9月6日にソ連側も被害機が民間旅客機であった事を認めたが、領空侵犯機の撃墜は正当であるとし、謝罪や賠償には応じていない。

なお、大韓民国は当時ソ連と国交がなく、国連にも加入していなかったためその主張を黙殺された。

この事件を契機に国際民間航空条約(シカゴ条約)が改定され、領空侵犯した民間機の撃墜が明示的に禁じられた。
また、同様の事態を防ぐため、軍用技術であったGPSが民間航空機にも解放される事となった。


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