【対潜空母】(たいせんくうぼ)

アメリカ海軍に一時期存在した、航空母艦の一種。艦種記号は"CVS"。
名目上は、対潜水艦攻撃に特化した航空母艦のこと。
ソ連軍潜水艦が脅威とされた冷戦初期から中期にかけて用いられ、対潜機対潜ヘリコプター早期警戒機などを運用していた。

護衛空母ヘリコプター空母*1などと違い、その目的で建造されたものではなく、余剰の正規空母から艦種変更されたものである。
冷戦中、かつて対潜作戦に使われていた「ボーグ」級、「カサブランカ」級、「コメンスメント・ベイ」級等の護衛空母では能力が向上したソ連軍潜水艦に対抗できないことが予想された。
このため、第二次世界大戦中に大量建造されて戦後余剰となったエセックス級が着目され、その大半が対潜空母に変更された。(残りの一部は強襲揚陸艦や練習空母となった)
こうした対潜空母には、SCB-144改修によりソナーなどを追加されたものもあれば、名目のみ変更されてジェット戦闘機攻撃機を運用し続けたもの、あるいは予備役として軍港に繋留され、事実上稼動していなかったものも存在する。

第二次世界大戦を生き抜いたCV-6エンタープライズも対潜空母へ艦種変更されたが、こちらも既に予備役状態であった。
これらの退役にともない、対潜空母という艦種そのものも消滅。以降の対潜任務は正規空母駆逐艦などへ引き継がれた。

関連:攻撃空母 大型空母


*1 実際には、当時「(水上砲戦能力・揚陸戦能力・STOVL機運用能力のいずれも持たない)純粋な」ヘリコプター空母として建造された艦はない(2000年代になって建造された日本の「ひゅうが」級が初)。

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