【装弾筒付翼安定式徹甲弾】(そうだんとうつきよくあんていしきてっこうだん)

Armour Piercing Fin Stabilized Discarding Sabot (APFSDS)
(または離脱装弾筒付翼安定式徹甲弾)

装弾筒付徹甲弾の弾芯を更に小さくし、矢のような形状にすることによって、更に貫徹力を増大させたもの。
弾芯にはタングステン合金や劣化ウラン合金が使用される。
弾芯の形状だと、施条砲により回転を与えると弾道が不安定になってしまうため、滑腔砲と呼ばれるライフリングの無い砲を使用し、また弾芯に小翼(翼安定式の由来)をつけることで遠距離射撃を可能とした。
(スリッピング・バンド(スリップリング)と呼ばれる、ボールベアリングで回転を相殺する特殊な部品を使用することで、一応施条砲でも使用できるようになっている)

APFSDSはおよそ1200m〜1500m/secという高速で着弾するが、このような高速で着弾すると弾芯と装甲が互いに液状化したようになり、弾芯が身を削りながら装甲を侵徹していく。
この点で装弾筒付徹甲弾のような過去の徹甲弾とは大きく異なり、装甲に対してほぼ平行に着弾した場合を除き、多くの場合は傾斜装甲による避弾径始も有効ではない。
戦車の使用する砲弾の中では、装甲に対する貫通力がもっとも高いといわれており、現在先進諸国の主力である第3世代戦車の多くで採用されている。

なお、陸上自衛隊では日本国内での演習場では狭すぎて本砲弾による実弾演習が行えないため、TPFSDSという訓練弾を使用している。
この訓練弾はタングステン弾体のそれと同じ飛翔特性を示すが、目標命中、若しくは一定距離を飛翔すると弾体が3分割(正確には5分割)し、急激に弾速を衰えさせることで狭い演習場でも安全な実弾演習を可能としている。

apfsds.jpg

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