• 追加された行はこの色です。
  • 削除された行はこの色です。
*&ruby(そうちょう){【曹長】}; [#na18b4c4]
[[軍隊]]や[[自衛隊]]における下士官の階級のひとつ。~

Sergeant Major.~
~
軍人の階級は、主に将官(一般企業で言えば「役員」に当たる。以下同じ)、佐官・尉官(管理職(部長・課長)クラス)、下士官(係長・主任クラス)、兵卒(平社員クラス)で構成されているが、曹長は上級下士官として分隊長や副小隊長など(陸軍の場合)に任じられ、小部隊の指揮や指揮官への助言を行うのが普通である。(下士官の最上位階級は准尉)~
[[軍隊]]や[[自衛隊]]における[[下士官]]の[[階級]]のひとつ。~
[[NATO階級符号]]では「OR-7」ないし「OR-8」に該当する。~
~
一般的に、この階級に任じられる者は[[徴兵>徴兵制]]や志願によって軍に入隊した後、10年〜20年以上もの長い軍歴を積み、更に技量や部下統率力などの基準により選抜の上で任官される――いわゆる「叩き上げ」で、現場では部隊に属する下士官・兵卒のまとめ役として、階級以上に重要な役割を担うことになる。~
そのため、大学や士官学校(自衛隊では主に[[防衛大学校]])で高等教育を受け、兵卒・下士官としての勤務をほとんど(あるいは全く)経験することなく士官に任官された「現場を知らない」若い部隊長と現場経験豊富な下士官との関係を皮肉った風刺が、どの国の軍隊においても大なり小なり見られる。~
長期の幹部教育([[士官]]学校などの卒業)を前提としない[[兵士>戦闘員]]の階級としては多くの国で最高位である。~
典型的には[[一兵卒>兵卒]]として入隊し、10〜20年程度の軍歴を積んだ上で、抜きんでた技量・統率力を持つ者が選抜される。~
近年では、曹長から勤続の長い者には「(最先任)上級曹長」など、さらなる昇進([[NATO階級符号]]では「OR-9」)がある軍隊もある。~
また、イギリス[[陸軍]]のように曹長が「OR-7」相当官の場合、一等准尉および二等准尉がそれぞれ「OR-9」、「OR-8」となるケースもある。~
~
[[陸上自衛隊]]の「曹長」はアメリカ陸軍の「上級曹長」に相当する。~
主な職務は分隊・小隊程度の小規模な[[部隊・組織>部隊]]における、統率上必要な雑務と助言である。~
曹長の直上に[[士官]]教育を受けた[[尉官]]が配属されるが、これは普通「まだ現場を知らない新任[[士官]]」である。~
実務能力でも人間的信用でも遙かに優る曹長に対してどう接し、どう指揮するかは[[士官]]の出世競争における最初の課題である。~

>一種の都市伝説だが、「[[前線]]における[[士官]]の死因として最も多いものは部下による上官殺しである」という風説がある。~
実際、兵士が怒りに任せて衝動的に犯したと思しき殺人事件は多々あるし、証拠不十分な疑惑も含めれば枚挙に暇がない。~
そうした部下の憤懣を見張り、宥め、指揮系統の自壊を防ぐ事も曹長に不可欠な資質である。~
――つまり、曹長自身も上官に殺意を抱いている場合、それを見張って未然に阻止できる者はいない。

**日本における「曹長」 [#b3e7569c]
現在の[[陸上自衛隊]]・[[航空自衛隊]]において、実際に[[旧陸軍>日本軍]]の曹長に相当するのは一等陸曹(一等空曹)である。~
これは、陸(海・空)曹長が新設されたのが1980年11月29日の事であり、それまでは一曹が[[自衛隊]]における[[下士官]]の最高位であったためで、陸(空)曹長はその上の上級曹長に相当する。~
ただし、旧陸軍の曹長は外国軍では「OR-7」相当と見做されているため、自衛隊の曹長が「OR-8」、旧陸軍の准尉、旧海軍の兵曹長および自衛隊の准尉((自衛隊には「[[准士官]]」に相当する階級はない。))が「OR-9」相当とされる。~
~
更に近年では、部隊もしくは全軍で曹長・准尉に任じられている者の中からもっとも勤務経験年数の長い者に「最先任下士官」((自衛隊では陸海空曹全体の最先任者をそれぞれ「最先任上級曹長」(陸自)、「先任伍長」([[海自>海上自衛隊]])、「准曹士先任」([[空自>航空自衛隊]])と呼んでいる。))の呼称を与え、下士官・兵のトップとして遇することも多くなっている。((最先任下士官となった者の職務は「指揮官への助言」のみに限定され、指揮権は与えられないことが多いという。))~
~
関連:准尉 軍曹 伍長
なお、[[旧海軍>日本軍]]の下士官は兵曹という独自の呼称を使用し、これに上等、一等、二等を頭に付記して区別しており、上等兵曹が曹長に相当していた((この区分になったのは1942年10月以後で、それまでは一等、二等、三等の区分であった。))。~
従って、[[海上自衛隊]]の一等海曹は正しくは上等兵曹に相当し、海曹長は上級上等兵曹に相当する。


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS