*&ruby(ぜんめつ){【全滅】}; [#eace3058]
annihilate.~
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ある特定の用途・目的に利用できる資源や人材が何一つ残っていない状態。~
日本語では「壊滅」と呼ぶ事もあり、他者を全滅させる事を「殲滅」と言い換える事もある。~
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[[軍事]]において「全滅」という場合、[[部隊]]に戦える人間が誰もいなくなった状態を指す。~
無論、実際にそのような事態が発生する最大の原因は戦闘による損害である。~
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ただし、「全滅」は必ずしも部隊全員が皆殺しにされた事を意味しない。~
[[ECM]]の影響や通信機器の破損などで[[部隊]]が[[MIA]]に陥れば、それは事実上の全滅である。~
[[撤退]]や[[後送]]に際して混乱が生じた場合、所在の確認が取れるまで便宜的に全滅とみなす事は多い。~
また、部隊が敵に[[降伏]]した場合も、経緯はどうあれ「戦えない」事に変わりはないので全滅とみなされる。~
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必要な装備・施設を失って規定の[[作戦]]行動を完遂できなくなった場合も、(死傷者数の多寡に関係なく)[[軍事]]的には全滅とされる。~
たとえば、[[空軍]]にあっては「[[飛行場]]の[[燃料]]備蓄が尽きた場合」がそれに当たり、野戦部隊にあっては「弾薬の備蓄が尽きた時」であり、[[戦闘艦艇>艦艇]]にあっては「舵やエンジンの損傷で航行不能になったとき」がそれに当てはまる。~
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訓練や演習では、便宜上「戦力((基本的には、ある指揮官が指令を与える直接の部下1名を基本単位とする。&br;  中隊長の視点で見るなら配下の小隊長、[[戦闘機]]の[[編隊]]なら個々の機体に搭乗する[[パイロット]]が問題となる。))の2〜3割が失われた」時点で全滅と判定される事が多い。~
劣勢に陥った[[部隊]]の勝機は漸減するため(([[ランチェスターの第二法則>ランチェスターの法則]]によれば、彼我の戦力差は時間経過と共に拡大していくものとされる。))、指揮官は皆殺しにされる前のある時点で敗北を確信する。~
それがどの時点かは個々の状況によるが、基本的には損耗率30%程度が勝利を望める限界とされる。

>ただし、これは増援の到着が望めず、またそもそも[[撤退]]が可能である場合にのみ適用される。~
状況によっては殲滅されるまで[[死守]]を続ける事もあり得るし、逆に無血の[[降伏]]も起こりえる。

通常、こうした全滅判定は一時的なものであり、後方での[[再編成]]によって戦力を取り戻すものと期待される。~
ただし、[[兵站]]や制度上の事情から[[部隊]]の[[再編成]]が断念される可能性もある((例えば、1個[[師団]]のほぼ全員が[[KIA]]となった場合、その[[師団]]はもはや再建不可能とみなされる。&br;  仮に戦闘可能な状態で生き残っていた兵がいたとしても、比較的欠員が少ない他の部隊に組み込んで再編成したほうが合理的であろう。))。

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