- バックアップ一覧
- 差分 を表示
- 現在との差分 を表示
- ソース を表示
- 全地球測位装置 へ行く。
- 1 (2003-12-04 (木) 23:20:44)
- 2 (2004-10-30 (土) 12:20:03)
- 3 (2007-06-28 (木) 21:38:23)
- 4 (2007-06-29 (金) 23:36:20)
- 5 (2007-09-12 (水) 22:39:45)
- 6 (2008-01-31 (木) 22:24:14)
- 7 (2008-04-29 (火) 09:39:35)
- 8 (2009-05-18 (月) 07:33:07)
- 9 (2009-05-18 (月) 21:55:08)
- 10 (2009-05-19 (火) 06:36:35)
- 11 (2009-09-04 (金) 23:24:16)
- 12 (2010-02-16 (火) 22:40:46)
- 13 (2010-03-01 (月) 23:31:13)
- 14 (2010-03-02 (火) 02:49:57)
- 15 (2010-03-02 (火) 06:49:07)
- 16 (2010-09-29 (水) 00:07:09)
- 17 (2010-11-02 (火) 22:32:20)
- 18 (2010-11-25 (木) 17:48:00)
- 19 (2010-11-26 (金) 05:31:56)
- 20 (2011-01-10 (月) 07:30:13)
- 21 (2011-01-17 (月) 11:36:30)
- 22 (2011-01-17 (月) 21:45:28)
- 23 (2011-01-18 (火) 12:05:10)
- 24 (2011-01-18 (火) 21:53:48)
- 25 (2011-01-19 (水) 03:38:39)
- 26 (2011-04-09 (土) 20:04:21)
- 27 (2011-05-13 (金) 02:23:50)
- 28 (2011-08-06 (土) 13:46:05)
- 29 (2011-11-23 (水) 22:24:56)
- 30 (2012-01-25 (水) 12:11:38)
- 31 (2012-01-28 (土) 14:59:56)
- 32 (2013-09-01 (日) 07:00:28)
- 33 (2014-07-21 (月) 08:39:14)
- 34 (2014-12-18 (木) 19:56:16)
- 35 (2016-03-26 (土) 14:29:36)
- 36 (2016-10-30 (日) 16:34:57)
- 37 (2018-03-17 (土) 10:43:06)
- 38 (2020-02-13 (木) 11:00:48)
- 39 (2020-08-01 (土) 12:00:58)
- 40 (2020-12-12 (土) 06:59:50)
- 41 (2021-02-10 (水) 11:02:42)
- 42 (2021-04-04 (日) 11:49:07)
- 43 (2021-05-22 (土) 09:21:41)
- 44 (2021-07-31 (土) 07:47:25)
- 45 (2021-08-20 (金) 11:31:15)
- 46 (2022-01-02 (日) 13:12:14)
- 47 (2022-10-30 (日) 17:47:31)
- 48 (2022-10-31 (月) 19:07:13)
- 49 (2022-11-25 (金) 08:05:30)
【全地球測位装置】 †
Global Positioning System(GPS).
人工衛星を利用した航法支援装置。理論上、地球上のどこでも正確な現在位置を割り出す事ができる。
船舶や登山用では、(地図や海図との併用を想定して)緯度・経度のみを表示する小型の受信機がよく用いられる。
一方、自動車や携帯電話など地図の不備が予想される場合、画面上に現在位置に合わせた地図を表示するタイプのものが主流。
位置特定のメカニズム †
GPSは以下のようなメカニズムで受信機の現在位置を特定する。
- 専用の人工衛星を打ち上げる。
この衛星は原子時計を内蔵し、電波で現在時刻と衛星が飛行している軌道を放送する*1。
- 時計を内蔵した受信機で、衛星からの電波を受信する。
送信から受信までの経過時間*2から、衛星までの距離を推定する。
- 上記2.の処理を、最低3基の人工衛星について同時に行う。
3つの地点からの距離が特定出来れば、その条件を満たす場所を1点に絞る事ができる*3。
- 受信した情報を検証し、必要があれば修正する。
前記のように、理論上は3基の衛星を受信できれば大まかな位置を特定できるが、実際には時計の誤差*4が無視できないほど大きいため、これを修正するためにより多くの衛星を必要とする。
そこで、受信できる範囲の衛星の情報を可能な限り受信し、得られた情報を検証した上で信頼性の低い情報を切り捨てるなどの処理を行う。
- 以上1.〜4.の処理を経て、受信機が存在する経度・緯度・高度を算出し、表示する。
以上の処理を円滑に行うために、受信機の上空に最低4基の衛星が存在しなければならず、
その状態を地球全土で同時に実現する必要があるため、実際に必要な衛星の数は30基を超える。*5
現在はアメリカ空軍?が構築したシステムが民間に開放されているが、これは各国にとって望ましい事態ではない。*6
自国所有の衛星のみで独自のGPSシステムを構築するための研究開発が日本・ロシア・EUなどで進められている。
殊に近年、2008年以降の全世界的景気後退の影響を受けて米軍のGPS衛星運用予算が削減されている。
これによって老朽化した衛星の交換が遅れ、GPSシステムに悪影響を及ぼす*7可能性が指摘されている。
このことも、各国でのGPSの代替となる衛星測位システムの構築を後押ししている。
関連:GPS誘導爆弾
ディファレンシャルGPS †
Differential GPS(DGPS).
GPSの測定精度を高めるための手法の一つ。
緯度・経度・標高の確定した基地局でGPS衛星の電波を受信し、補正情報を生成する。
受信機は自身のGPS情報を基地局からの補正情報によって検証し、誤差を相殺する。
日本では海上保安庁が全国27ヶ所の基地局を運用し、日本列島近海向けに中波ビーコンで送信している。
基地局として静止衛星*8を利用する方式や、既存の無線通信を利用する方法もある*9。
GPSにまつわる誤解 †
日本におけるGPSの代表的な利用例として、自動車に搭載される「カーナビ」がある。
これに関連して、以下のような話が伝えられている。
- GPS衛星は、カーナビを積んだ車にその車の位置情報を送っている。
- GPS衛星がカーナビのルートを引いている。
- GPS衛星は車の位置を逆探知できる。
- GPS衛星とカーナビが通信をしている。
- アメリカ軍やCIAがGPSから収集した情報を使って何か陰謀を企んでいる(多分エリア51かどこかで)
実態を言えば、GPS端末の情報を無線電波やインターネットで送信する事は可能であり、実際に行われている。*10
送信された位置情報のハッキングも原理的には可能であり、実際に行われていないという保証はない。
しかし、それをGPS衛星が受信する事はない。
GPS衛星には内蔵された時計の時刻や飛行中の軌道データを送信する機能しかないためだ。
結局のところ、カーナビの機能のほとんどはカーナビ自体に内蔵されたコンピューターに依存している。
なんらかの情報漏洩や不備があったとしても、それはやはりカーナビの小さな機械に起因する。
*1 軍用の高精度なチャンネルと民生用のチャンネルが同時に送出される。
*2 光速は常に一定であるため、経過時間から正確に距離を逆算できる。ただし時計の精度やコンピュータの処理能力による誤差は不可避である。
*3 厳密に言えばまだ2点の候補があるが、そのうち1点は大気圏外であるため除外できる。
*4 送信側の原子時計は数万年に±1秒程度と高精度だが、受信側はクォーツ時計であるため、これより精度は落ちる。
*5 理論上、最低24基あれば地球上全域をカバーできるとされている。
*6 開放当初はアメリカの軍事政策上の理由から、米軍の軍用受信機以外で算出すると必ず数十mの誤差が生じるように設定されていた。
この設定は現在撤廃されているが、将来、復活しないという保証はどこにもない。
*7 有事の際、GPSが利用できなければそれに依存する戦闘機、誘導爆弾、ミサイルなどあらゆる兵器が運用できなくなる。
たとえ平時であっても、企業から官公庁まであらゆる所で我々の生活に深く関っているため大きな混乱をきたす。
*8 日本では測位衛星「みちびき」が打ち上げられた。
*9 「ラジオ局が使用しない周波数帯域を利用する」「地上波デジタル放送の信号と重畳して送信する」「携帯電話の基地局で測位を行う」など。
*10 実用例としては、運輸業などで使われる「車両位置監視システム」や児童・高齢者向けのセキュリティシステム、携帯電話をプラットフォームとする「位置ゲー」と呼ばれるゲームなどがある。