【戦闘機不要論】(せんとうきふようろん)

何らかの技術的進歩により、従来の戦闘機は不要になるという考え方。

  1. 高速爆撃機の発達による戦闘機不要論
    戦間期に発生した思想。
    当時はレーダーの未発達から爆撃機の探知、要撃が困難であったため、戦闘機並み、もしくはそれを上回る速度を誇る爆撃機が有れば戦闘機に迎撃される事は無い。また、機関銃座を多数装備した爆撃機を攻撃するのは困難である、という考え方が生まれた。
    しかしレーダー・無線などの防空網の整備による迎撃効率の向上と戦闘機の飛躍的な高速化により爆撃機戦闘機の迎撃を突破する事は不可能となり、この思想は立ち消えた。

    関連:九六式陸上攻撃機


  2. ミサイルの発達による戦闘機不要論
    冷戦初期〜中期に発生した思想。ミサイル万能論
    地対空ミサイル空対空ミサイルの発達により、従来のような空中戦は発生せずミサイルの撃ち合いのみになる。また、爆撃機弾道ミサイルに取って代わられ、戦闘機の役割は無くなるであろうという考え方。
    実際にIM-69地対空ミサイルの配備により、カナダが開発していたCF-105アロー迎撃戦闘機は(アメリカの圧力もあって)試作機を完成させたところで中止、イギリスのライトニングは実機を作る前に開発中止が決定された*1
    しかし、弾道ミサイルを撃ち合うような全面戦争はついに発生せず、一方で局地紛争においては、ミサイル自体の信頼性が低すぎて安定した命中精度が得られず、結局は旧来のような戦闘機戦闘機ドッグファイトが展開されることになった。


  3. 無人機機発達による戦闘機不要論
    現在、飛躍的に活躍の場を広げている無人機が将来の航空戦の中心となり、航空優勢の確保も遠隔地に居るオペレーターの指示、及び自律で行動する無人機が担うようになり、有人戦闘機の役割は無くなってゆくであろうという考え方。
    イラク戦争ではFIM-92スティンガーを搭載したMQ-1プレデターと、有人のMiG-25によって、空対空交戦能力を持った無人機VS有人機の史上初の空中戦が展開された。機動性に劣り、有効な空対空センサーを持たないプレデターは撃墜され、MiG-25が勝利者となったが、将来の空中戦の様相を示唆した。
    2010年現在、こうした考えは主流となってはいない。

*1 後に撤回しライトニングは量産された

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