【戦車】(せんしゃ)

  1. 兵士の乗った車輪付きゴンドラを馬が牽引する乗り物。チャリオット。
    現代の戦車と区別するために「騎馬戦車」とも言う。
    起源は古代エジプトにまで遡ることができ、それが後に古代ローマや古代中国へと伝わったといわれる。
    通常2〜3人が搭乗、弓矢・矛・剣などで武装し突撃を行った。
    古代中国では、殷と周の決戦であった牧野の戦いにおいて大規模な戦車戦を展開したという。
    古代ローマ帝国では集団で使用し、圧倒的な強さを誇った。
    また、速さを競う競馬のような競技があり、人々に大変な人気があった。
    しかし、騎馬民族が台頭してくるにつれ機動性に劣る戦車は廃れ、主流は騎兵や騎士へと移っていった。

  2. 装甲が施された車体に機銃・火砲等の武装を備え、履帯による高い不整地走行能力をもった戦闘車両。通称タンク。

    世界初の戦車マーク1が登場したのは、第一次世界大戦の時である。
    このころの戦車は、鉄条網・機関銃塹壕などからなる敵の陣地を突破できる能力を持った車輌であった。
    すなわち、戦車は無限軌道を装備し、敵の銃弾や砲弾に耐えうる装甲を持ち、ある程度の武装をした車輌であり、主目的は歩兵部隊の前進支援であった。
    1917年「ルノーFT17(フランス)」が登場した。これは初めて全周旋回する砲塔を備え、戦闘室と操縦室を分離するなど当時としては画期的な戦車だった。これが現在までの戦車の原型とされる。
    第二次世界大戦ごろからは、さまざまな装甲戦闘車輌が登場したため、戦車には敵陣地突破や歩兵支援の能力に加えて、敵の装甲車輌を撃破できる能力が求められるようになった。
    そのため、戦車とは敵の装甲戦闘車輌と機動戦闘が行える車輌を特に指すようになった。
    すなわち、敵装甲車輌に対して有効な打撃を与えられる砲(ふつうはカノン砲)を旋回砲塔に備え、敵の砲撃から防護する装甲を持ち、無限軌道によって車体を支えた上で機動戦闘をなしうるだけの機動力を確保した車輌である。
    一方、敵戦車の攻撃を目的とするが、火砲の装備状況や装甲などの関係で敵戦車との機動戦闘能力を持たない車輌を突撃砲戦車駆逐車、支援砲撃を行う車輌は自走榴弾砲などと呼んで戦車とは区別される。
    また戦車の車体を流用して作られた車輌、もしくは類似の車輌として、駆逐戦車、対空戦車、架橋戦車、回収戦車(戦車回収車)などがあるが、これらは戦車に含まないのが通常である。

    戦後には、それまでの中戦車の機動力と重戦車の防御力・攻撃力を兼ね備えるものが多くなったため、戦車をすべてひとまとめにして「主力戦車」と呼ばれるようになった。
    戦後の戦車は、明確な基準はないものの大きく分けて3つの時代に区分されることが多い。
     第1世代戦車:M47(アメリカ) センチュリオン(英国) 61式戦車(日本) T-54(旧ソ連) など
     第2世代戦車:M60(アメリカ) チーフテン(英国) 74式戦車(日本) レオパルト(ドイツ) T-62(旧ソ連) T-72(同左) など
     第3世代戦車:M1(アメリカ) チャレンジャー(英国) 90式戦車(日本) レオパルト2(ドイツ) AMX-50(ルクレール)[フランス] T-80(ロシア) など
    このうち74式戦車とT-72は比較的開発が遅く、新技術が採用されているため、「第2.5世代」戦車と呼ばれることがある。
    同様に、M1戦車の最新型である"M1A2"とルクレールは「第3.5世代戦車」と呼ばれることがある。

    時代によってに違いはあるが、すべての時代の戦車に共通するのは、装甲をもつ車体に武装を備え、無限軌道で走行し高い敵地進攻能力をもつが、航空機に対して殆ど無力な車輌ということである。
    近年では対戦車ミサイルの発達が著しく、一時は戦車無用論も囁かれたが、前線を突破するには戦車が不可欠で、継続的な地域制圧能力に優れ、さらに味方の士気に与える影響は絶大であり、今もって「陸戦の王者」である。


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