【戦車揚陸艦】(せんしゃようりくかん)

揚陸艦の一種。
通常の揚陸艦が上陸用舟艇やヘリコプターなどを用いて兵員・車両・資材などを揚陸するのに対し、それ自体が直接浜辺に乗り上げて(ビーチング)戦車などの重量物を揚陸する能力を持つもの。
アメリカ海軍での記号は「LST(Landing Ship of Tank)」。

かつての揚陸艦は上陸用舟艇を甲板上から吊り降ろし、それを用いて兵員を揚陸させていたが、これでは舟艇の大きさに限界があり、戦車などの重量物を揚陸することができなかった。
戦車揚陸艦は揚陸艦そのものにビーチング能力を持たせることにより、戦車などを揚陸できるようにしたものである。

しかし、船首に大型の乗降ドアを設けていることと、浜辺に乗り上げるために船底を平らにしておかねばならない構造上、他の艦船に比べて速力に劣るという欠点があり、また、この方式で接岸できる海岸は全地球上の海岸線の15%程度しかないという欠点も指摘されたため、後にドック型揚陸艦などが登場して大型の上陸用舟艇を運用できるようになると、次第に使われなくなった。

主な戦車揚陸艦

  • 第二次世界大戦中に建造されたもの
    • アメリカ
      • バチャクエロ級
      • ボクサー級(LST(1)型)
      • LST(2)型
    • 日本
      • 第一〇三号型輸送艦(海軍。二等輸送艦)
      • SS艇(機動艇)(陸軍船舶工兵隊。海軍の第一〇三号型とほぼ同型)
  • 第二次世界大戦後に建造されたもの
    • アメリカ
      • ニューポート級
      • タルボット・カウンティ級
      • テレボーン・パリッシュ級
      • サフォーク・カウンティ級
      • LST-1級
  • フランス
    • シャンプレーン級
  • 中国(人民解放軍)
    • 玉康(ユカン)型(072型)

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS