【戦車狩り】(せんしゃがり)

Tank Prinking.

圧倒的な航空優勢下で、精密誘導兵器によって敵機甲部隊空爆する事を指す俗語。
味方の陸軍に対する侮蔑性を伴う表現である*1ため、公文書への記載は避けられる。

表現としての初出は、1991年の湾岸戦争における多国籍軍航空部隊の空爆から。
この戦争で、史上初めて空対地ミサイルレーザー誘導爆弾が大規模な戦線に投入された。
結果、精鋭エビエーターと最新の電子工学の組み合わせが戦場に何をもたらすかが明らかとなった。

精密爆撃の命中率は、人為的ミスによる誤射を除けば実用上100%に近い水準である事が明らかになったのである。
この事実はそれまでの戦争の常識を覆し、新たな軍事革命の発端となった。
以降、軍事科学の研究はサイバネティックスによる精密制御を前提とするようになった。

とはいえ、この時「国際社会に与えた心理的衝撃」の多くは意図された宣伝効果による虚像であり、戦後の検証により、実際の戦場では人為的なミスが多発していた*2事が明らかになっている。
精密誘導兵器は確かに強力だったが、湾岸戦争の時点ではまだ運用教則が未成熟であったのも疑いない。

関連:タンクバスター 攻撃ヘリコプター F-15E F-111 A-10


*1 この言葉の初出となった湾岸戦争の際、多国籍軍の総司令官であったノーマン・シュワルツコフ氏(当時、アメリカ陸軍大将)はこの表現を嫌っていたという。
*2 イラク側が偽装したバルーンデコイ戦車と誤認したり、偵察機不足による爆撃効果判定の不徹底により、一度壊れた残骸を再破壊していた例も多々あった。

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