【戦艦】(せんかん)

Battle Ship*1

巨大な艦載砲と厚い装甲をもち、水上艦や沿岸への砲撃を主任務とする艦艇
定義は時代に応じて変遷しているが、おおむね各国が現実的に運用可能な最大級の戦闘艦である。

その名前の関係上、著者・編集者が軍事に疎い場合には『軍用の武装した船舶の総称*2』として誤用される事が多い。

兵站への負荷が強烈であり、整備や補給にも長い時間を要するため、艦隊決戦を前提として運用する。
頑丈な構造ではあっても多数の艦からの集中砲火に耐えうるほどではなく、駆逐艦巡洋艦による護衛を必要とする。
最大の利点は艦載砲有効射程と破壊力であり、海戦における砲兵として運用される。

かつては海戦の中核であったが、より長い射程距離を持つ航空母艦艦載機や海中からの魚雷攻撃を行える潜水艦の発達によって存在意義が破綻。
第二次世界大戦で場当たり的に護衛*3・対地砲撃に運用された後、海軍から消えていった。

本艦種は艦載砲による戦闘に特化しているが故に、汎用性に欠け、戦艦同士の戦闘以外には容易に投入出来ず、国家の威信を賭けて建造されるが故にその喪失は多大な影響を及ぼすため、度々温存された。
その反面、魚雷機雷航空機潜水艦といった安価な兵器には思いの外脆く、そこに戦艦という兵器としての限界が存在していたのである。

なお、1980年代にはアメリカ海軍モスボール処理されていたアイオワ級戦艦の現役復帰を試みた*4が、成果を挙げることができず大失敗に終わっている。

関連:巡洋艦 駆逐艦 艦載砲 大艦巨砲主義 超ド級


*1 アメリカ海軍での略号は"BB"。艦種記号が一文字で終わる場合は2文字重ねる慣例となっている。
*2 ちなみに「広辞苑」で「戦艦」の項目を引くと、この意味が先頭に記載されている。
*3 多数の高射砲・高射機関砲を装備して艦載機を迎撃したが、決定的な戦果には繋がっていない。
*4 これは、当時の仮想敵であったソ連海軍が「キーロフ」級大型ミサイル巡洋艦を就役させたことへの対抗措置であった。

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