【制海権】(せいかいけん)

Command of the Sea, Thalassocracy(海洋の支配)

国家が海の交通状況を掌握し、自国の商船・漁船・海上資源基地の安全を保証する事。
また、他国の船舶の運航に関する独占的な管制の権利を保有する事。
海賊や仮想敵国に対する海上封鎖が可能でなければならず、海軍による実効支配が前提となる。

ただし実務上、海を完全に掌握するのは現実的でない。
海は広大であり、海上のあらゆる位置に無敵の艦隊を配置するのは不可能だからだ。
従って、制海権はある海域において他国と比較して優勢である事を示す相対的な問題にすぎない。

よって、「制海権」ではなく「海上優勢(Sea Superiority)」と表記すべき、と主張する専門家もある。

戦争における制海権は、基本的に敵海軍と港湾施設を全滅させる事で達成される。
現代戦では空爆地対艦ミサイルも懸念されるため、内陸への攻勢対航空作戦も必要になる。
また、敵の再編成を阻止するための上陸作戦、歩兵による占領と監視も必要である。
制海権は海の問題ではなく、根源的には陸軍海軍空軍全てが関与する。

また、潜水艦による浸透も、特に限定戦争では有効な制海権確保の手段である。
たとえば敵の港湾に機雷を散布すれば、敵の艦隊を一時的に行動不能にできる。
もちろん数ヶ月もすれば港湾は復旧して無傷の艦隊が出撃するだろう。
しかし、その数ヶ月は限定戦争で戦果を得て講和をまとめるには十分な時間である。

関連:排他的経済水域 領海


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