【制海艦】(せいかいかん) †

Sea Control Ship(SCS)。
1960〜1970年代、アメリカ海軍が研究していた航空母艦の一種。

大型で運用コストの高い正規空母まで投入する必要がないと判断される脅威度の海域において、限定的・一時的な制海権を獲得または維持するための艦として計画された。
そのため、搭載される艦載機の構成もCTOL戦闘機・攻撃機一本槍ではなく、STOVL機やヘリコプターが中心とされ、対潜掃討や輸送船団護衛、敵地に着上陸した地上部隊への近接航空支援などの任務をメインとする――旧来の軽空母や護衛空母を現代風にリファインしたような性格づけをされている。

本家のアメリカでは実験が行われたのみ（強襲揚陸艦をその任務にあてている）であるが、このコンセプトは、正規空母を持てない中小国の海軍が洋上機動航空戦力――空母を運用するのに最適の形態であるとされており、実際にスペインが1980〜1990年代に建造した「プリンシペ・デ・アストゥリアス」、「チャクリ・ナルエベト」（タイ海軍向け）ではこのコンセプトが設計に取り入れられている。
また、日本の海上自衛隊が2009年に就役させる予定の「ひゅうが」型ヘリコプター護衛艦も、（国内事情により「駆逐艦」の艦籍番号がつけられているが）実質「ヘリコプター空母」であり、これに近い運用法が可能と推測されている。


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