【蒸気機関】(じょうききかん)

外燃機関の一種。
広義には蒸気圧を利用したエンジンの総称だが、一般には蒸気圧でピストンを動かすものを指す。
「蒸気レシプロエンジン」とも呼ばれる。

ボイラーで水を沸騰させて生成した水蒸気をシリンダーへ送り込み、ピストンを往復運動させる。
そしてこの往復運動を、クランクを通じて回転運動に変換するものが一般的である。
シリンダーを通った水蒸気は、そのまま大気中に放出される場合もあれば、復水器で冷却して再利用される場合もある。

18世紀の英国で開発*1され、産業機械や蒸気機関車の動力源として、産業革命の大きな原動力となった。
しかし、燃料が持つ熱エネルギーの1%程度しか運動エネルギー?として取り出すことができず、装置も大掛かりにならざるを得なかった。
さらに燃料だけでなく大量の水も消費する*2うえ、起動や停止に手間がかかるため、即応性にも劣る*3

これらの欠点から、蒸気タービン内燃機関などの発達にともない、次第にすたれていった。

関連:蒸気タービン


*1 1712年、トーマス・ニューコメンが初めて製作し、1769年にジェームズ・ワットが、実用に耐えるタイプの改良型機関を開発した。
*2 蒸気機関車の場合は水蒸気を復水器で再利用することもできないため、巨大な水タンクを必要とした。
  長距離・重負荷列車用の機関車には本体に水タンクを内蔵できないため、燃料と水を収容する「炭水車」という専用の車を接続する必要があった。

*3 これは蒸気タービンにも共通の欠点である。

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