*&ruby(じょうほうしゅうしゅうえいせい（にほん）){【情報収集衛星（日本）】}; [#s1b0d3d2]
Information Gathering Satellite（IGS）.~
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日本国政府((運用は内閣官房直属の「内閣情報調査室内閣衛星情報センター」が受け持っている。))が運用している、事実上の[[軍用偵察衛星>軍事衛星]]。~
1998年の[[テポドン事件]]を契機に、「国家安全保障や大規模災害への対応など、内閣の重要政策に関して必要となる画像情報」を収集することを目的として開発され、2003年に第一号機が[[H2Aロケット>H型ロケット]]5号機により打ち上げられた。~
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本衛星は、光学センサー(([[近赤外線>赤外線]]観測機能付きの超望遠デジタルカメラを装備。))を搭載する「光学衛星」と[[合成開口レーダー]]を搭載する「[[レーダー]]衛星」の二種類があり、両タイプ1機づつのペアを2組構成して運用されている((この体制が完成したのは、2013年4月にレーダー4号機の運用が開始されてからであり、1号機の運用開始から10年経って達成された。))。~
これまでに「光学1号〜7号」「レーダー1号〜6号（及び予備機）」と「実証衛星」2機（光学3号及び5号）の18機((光学及びレーダーの2号機については、2003年11月の打ち上げ時にロケット（H2Aロケット6号機）の不具合により指令爆破され、運用されないまま喪失した。&br; 後日、H2Aロケットの10号機及び12号機により打ち上げられた代替衛星に「2号」の名が与えられたため、号数と実際に打ち上げられた数が一致しない。))が打ち上げられている。~
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[[人工衛星]]としての詳細なデータは機密とされ公表されていないが、地球低軌道の「太陽同期軌道((高度490km、軌道傾斜角97.3度。))」を周回しているとされている。~
また、日本列島付近の上空を通過する時間は毎日10時30分〜11時（JST）頃とされている((これらは[[NASA]]や[[NORAD>北アメリカ航空宇宙防衛司令部]]などが観測したデータに基づいている。))。~
>人工衛星の軌道要素については、天体望遠鏡で観測してそれに基づいて計算すればアマチュアの天文ファンでも知ることができる上、打ち上げの時刻が公表されている以上、地球上の特定の地点を通過する時刻を隠しておくことは事実上不可能である。
また、この衛星は[[弾道ミサイル]]発射の兆候を捉えることはできても、発射の瞬間を捉えて警報を出すことは不可能だという((発射をリアルタイムで探知するには、静止軌道を周回する「早期警戒衛星」が必要であるが、現時点ではまだ開発・運用計画はない。))。~
加えて、衛星の捉えた情報を地上で分析する分析チームの要員数の少なさも問題として指摘されている((アメリカの分析チームは数千名単位だが、日本の分析チームは200名前後だという。))。
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**衛星一覧 [#s15450a2]
|世代|打ち上げ日時&br;（JST）|打ち上げ&br;ロケット|衛星名称|NORAD識別名|備考|
|第1世代|2003.3.28&br;10:27|[[H-��A&br;ロケット&br;5号機>H型ロケット]]|光学1号機|IGS-1A|分解能1m((ただしこの半分の分解能しか有していないとの報道もあった。))。既に運用終了&br;2014.7.18&br;大気圏に再突入し消滅|
|~|~|~|レーダ1号機|IGS-1B|分解能1〜3m。&br;2012.7.26&br;大気圏に再突入し消滅|
|~|2003.11.29&br;13:33|同6号機|光学2号機|IGS-2A|1号機の同型機。&br;打ち上げ失敗((補助ロケットブースターの分離失敗による指令爆破。))により喪失((これ以降、2機同時に失うことを避けるため、1機ずつ打ち上げられることになった（実証衛星除く）。))。|
|~|~|~|レーダ2号機|IGS-2B|~|
|第2世代|2006.9.11&br;13:35|同10号機|光学2号機|IGS-3A|H-��Aロケット6号機の打ち上げ&br;失敗で喪失したIGS-2Bの代替機&br;2013.12.24 運用終了|
|~|2007.2.24&br;13:41|同12号機|レーダ2号機|IGS-4A|分解能は1号機と同じだが、&br;撮像時間が向上している。&br;2010.10.7&br;運用障害により復旧断念&br;2014.4.13&br;大気圏に再突入し消滅|
|光学第3|~|~|光学3号機&br;実証衛星|IGS-4B|分解能60cm級の実証機。&br;既に運用終了。&br;2013.11.12&br;大気圏に再突入し消滅|
|~|2009.11.28&br;10:21|同16号機|光学3号機|IGS-5A|分解能60cm級。&br;2017.9.15 運用終了|
|光学第4|2011.9.23&br;13:36|同19号機|光学4号機|IGS-6A|分解能は3号機と同じだが、&br;ポインティング性能が向上した&br;2018.8.8 運用終了|
|レーダ第3|2011.12.12&br;10:21|同20号機|レーダ3号機|IGS-7A|分解能を1mに向上し、&br;電源の不具合対策を実施。|
|~|2013.1.27&br;13:40|同22号機|レーダ4号機|IGS-8A|IGS-7Aの同型機。&br;IGS-7Aと比べて開発コストを&br;約154億円削減。|
|光学第5|~|~|光学5号機&br;実証衛星|IGS-8B|分解能が41cmより高性能の&br;実証機。&br;既に運用終了。|
|レーダ第3|2015.2.1&br;10:21|同27号機|レーダ予備機|IGS-9A|レーダ3・4号機の同型の予備機|
|光学第5|2015.3.26&br;10:21|同28号機|光学5号機|IGS OPTICAL 5|分解能30cmまたは40cm級。&br;[[アメリカ国家偵察局]]運用の&br;偵察衛星に次ぐ性能を目指して&br;開発された|
|レーダ第4|2017.3.27&br;10:20|同33号機|レーダ5号機|IGS RADAR-5|レーダ3号機の後継。&br;分解能50cm級。|
|光学第6|2018.2.27&br;13:34|同38号機|光学6号機|IGS O 6|光学4号機の後継。&br;分解能30cm級。|
|レーダ第6|2018.6.12&br;13:20|同39号機|レーダ6号機|IGS R-6|レーダ4号機の後継。&br;分解能はレーダ5号機と同等の&br;50cm級。|
|光学第7|2020.2.9&br;10:34|同41号機|光学7号機|IGS-O 7|光学5号機の後継。&br;分解能は30cmより高性能。&br;光学5号機と比べて、光学センサー&br;を高性能化。&br;光学6号機と比べて、姿勢駆動装置を&br;増強し俊敏性向上。&br;データ中継衛星との通信機能を搭載|
|-|2020.予定|-|データ中継衛星&br;1号機|-|情報収集衛星システム初のデータ&br;中継衛星。&br;2015年度開発着手。|
|-|2022.予定|~|レーダ7号機|~|レーダ5号機の後継。&br;2015年度開発着手。&br;レーダ6号機と比べて、&br;発信電波の増強により画質が向上&br;受信アンテナの複数搭載による&br;撮像幅拡大&br;データ中継衛星との通信機能を&br;搭載し即時性を向上|
|~|2023.予定|~|光学8号機|~|光学6号機の後継。&br;2015年度開発着手。&br;分解能は25cmより高性能&br;光学センサの主鏡の大口径化と&br;高精細検出器の採用により&br;画質の大幅な向上を実現させる&br;また、俊敏性確保のため&br;大型姿勢駆動装置を採用する|
|~|~|~|レーダ8号機|~|レーダ6号機の後継。&br;2016年度開発着手。&br;レーダ7号機の同型機として&br;一体開発し開発費を大幅に節減|
|~|2025.予定|~|光学9号機|~|光学7号機の後継。&br;2019年度開発着手。|
|~|~|~|光学多様化&br;1号機|~|多様化衛星。&br;2016年度開発着手。|
|~|2026.予定|~|レーダー多様化&br;1号機|~|多様化衛星。|
|~|~|~|光学多様化&br;2号機|~|~|
|~|2028.予定|~|レーダ9号機|~|レーダ7号機の後継。&br;2021年度開発着手予定。|
|~|2029.予定|~|光学10号機|~|光学8号機の後継。&br;2023年度開発着手予定。|
|~|~|~|レーダ10号機|~|レーダ8号機の後継。&br;2023年度開発着手予定。|
|~|2031.予定|~|光学11号機|~|光学9号機の後継。|
|~|2034.予定|~|レーダ11号機|~|レーダ9号機の後継。|
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