【焦土作戦】(しょうどさくせん)

領土を放棄して撤退する際、その土地で活用可能な資源をことごとく破壊して焦土に変える事。
主要な手段としては以下のようなものがあるが、その一部だけに限定するのではなく、政治経済や作戦上の制約として許される全てを同時に実施しようとするのが特徴。

  • 鹵獲を防ぐため、撤退時に輸送できない装備・施設・設備を全て破壊する。
  • 食料品・生活必需品を全て焼却する。
  • 空港を破壊して離着陸を不可能にし、港湾?設備を破壊して艦艇を停泊できなくする。
  • 敵を通行させないために道路・線路を破壊する。橋を崩落させる事が多い。
  • 食料を現地調達させないために田畑を焼き払う。
  • 宿舎などの軍事施設として利用させないために家屋を倒壊させる。
  • 燃料を調達させないために油田に放火する。
  • 木材の調達や食料調達(狩り・採集)を行えないように森林火災を引き起こす。
  • 水源を汚染するか、水道設備を崩壊させる。湯を沸かせないようにするために燃料(可燃物)を全て焼き払う。
  • 都市の復興を妨げるために現地住民を虐殺する。
  • 経済基盤を破壊した上で住民をそのまま取り残し、失職した難民を敵国に養わせる。
  • スパイによる扇動などを用いて治安を崩壊させる。
  • 部隊撤退を許可せず、あえて敵中に孤立させて全滅するか友軍が奪還するまで戦わせ続ける。

一般に、文字通りの意味で完全に破壊できるような時間的余裕はないし、また大抵の国家はそこまで徹底的な決断を行えない。
根本的に、焦土になるのは自国の主張する領土で、そこで破壊されるのは自国の収入源であり、ひいては確実に国家と政府の信用を失墜させる(一部は明らかに戦争犯罪である)。このため、焦土作戦が展開されるのは原則として存亡の危機に陥った国家総力戦、または極度に専制的な独裁政権による紛争のみに限られる。
そのような末期的な国家状況にあっても焦土作戦のために全てを破壊する事はないし、そのような事はあまりにも困難であり現実的ではない。戦場が完全に何もない焦土と化していた場合、そうなった原因は焦土作戦ではなく戦争以前の段階における悪政、災害、内部紛争である可能性が高い。


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