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【少年自衛官】 †
かつて自衛隊にあった制度である「自衛隊生徒」の別名。
日本国籍を持つ中学卒業程度の15〜17歳までの男性を自衛官として採用し、主として、技術部門に配属される陸海空曹(下士官)を養成するコースの一つとして運用されてきた*1。
採用されると、「三士」の階級*2に任ぜられて陸海空自衛官となり、専門の教育機関に配属された。
同時に、指定された通信制の高校にも入学して普通科高校のカリキュラムを併せて学習し、採用から3年後に高校の卒業資格を取得した後、採用4年目に三等陸海空曹に昇進し、各部隊・艦船に配属されていた。
また、「高校の卒業資格が得られる」ことから、一般の大学や防衛大学校、防衛医科大学校、海上自衛隊や航空自衛隊の航空学生課程へ進む者も存在し*3、中には幹部任官後に将官まで上りつめた者もいた。*4
1950年代に創設されて以来、陸海空自衛隊で、人的戦力の中核となる陸海空曹の養成コースのひとつとして長らく運用されてきたが、海自・空自では2006年度限りで新規の生徒募集を終了、(翌2007年に入隊した最後の学生が前期課程を修了する)2010年3月に廃止された*5。
一方、陸自では2008年度(2009年4月入隊)限りで本制度による募集を終了しており、現在は後継となる「高等工科学校生徒課程」の募集を行っている。*6
この制度改編は、政府及び防衛省の「総人件費削減」施策による「自衛隊の定員削減」の一環として行われたものであると同時に、2000年に国連総会で採択された「武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書*7」を日本政府が2004年に承認し、18歳未満の者を自軍の戦闘員(わが国の場合は自衛官)から除外することを国際的に約束したことも理由である。
各自衛隊における生徒課程の教育機関、及び連携する高校 †
*1 日本の公務員制度の中で、最も若い年齢から常勤の職員として就職できるコースでもあった。
*2 2010年10月に廃止。
*3 一時期、防大には「生徒枠」という推薦入学枠もあった。
*4 現在、陸自では将官の1/3が本課程出身者で占められているという。
*5 その後、残務処理を経て2011年3月に海自・空自の生徒組織は廃止となった。
*6 なお、2009年度までに入隊した隊員は前期課程の修了まで本制度による身分取扱となる。
*7 この議定書では「18歳未満の自国の軍隊の構成員が敵対行為に直接参加しないことを確保するためのすべての実行可能な措置をとること」と規定されている。
*8 現在は「高等工科学校」に改称。
*9 旧・神奈川県立湘南高等学校通信制課程。
*10 旧・広島県立広島国泰寺高等学校通信制課程。