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*&ruby(しょうねんじえいかん){【少年自衛官】}; [#ead13be4]
かつて[[自衛隊]]にあった制度である「自衛隊生徒」の別名。~
日本国籍を持つ中学卒業程度の15〜17歳までの男性を[[自衛官]]として採用し、主として、技術部門に配属される陸海空曹(下士官)を養成するコースの一つとして運用されてきた((日本の公務員制度の中で、最も若い年齢から常勤の職員として就職できるコースでもあった。))。~
主に技術部門に配属される初級指揮官([[陸海空曹>下士官]])を養成するコースの一つとして運用されてきた。~
また、往事、日本の公務員制度の中で最も若い年齢から常勤の職員として就職できるコースでもあった。~
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採用されると、三等陸海空士((2010年10月に廃止。))に任命されて専門の教育機関に配属され、同時に指定された通信制高校にも入学して普通科高校のカリキュラムを学習し、採用から3年後に高校の卒業資格を取得する。~
そして採用4年目に三等陸海空曹に昇進し、各部隊・艦船に配属された。~
また、「高校の卒業資格が得られる」ことから、一般の大学や[[防衛大学校]]、[[防衛医科大学校]]、[[海上自衛隊]]や[[航空自衛隊]]の[[航空学生]]課程へ進む者も少数ながら存在し((一時期、防大には「生徒枠」という推薦入学枠もあった。))、中には幹部任官後に将官まで上りつめた者もいた。((現在、陸自では将官の1/3が本課程出身者で占められているという。))~
採用条件は「日本国籍を持つ中学卒業程度の15〜17歳までの男性」。~
採用時点で「[[三士>兵卒]]」の[[階級]]((2010年10月に廃止。))に任ぜられて陸海空[[自衛官]]となり、専門の教育機関に配属されると同時に、指定された通信制の普通科高校(後述)のカリキュラムも併せて学習した。~
採用から3年後、高校の卒業資格を取得した時点で教育課程を修了、三曹に昇進して[[部隊]]に配属されるか、進学するかを選べた。~
[[防衛大学校]]・[[防衛医科大学校]]・[[航空学生]]課程などに進み、後に[[佐官]]・[[将官]]まで上りつめた卒業生も少なくない。~
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1950年代に創設されて以来、陸海空自衛隊で、人的戦力の中核となる陸海空曹の養成コースのひとつとして長らく運用されてきたが、海自・空自では2006年度限りで新規の生徒募集を終了、(翌2007年に入隊した最後の学生が前期課程を修了する)2010年3月に廃止された((その後、残務処理を経て2011年3月に海自・空自の生徒組織は廃止となった。))。~
一方、[[陸自>陸上自衛隊]]では2008年度(2009年4月入隊)限りで本制度による募集を終了しており、現在は後継となる「[[高等工科学校生徒]]課程」の募集を行っている。((なお、2009年度までに入隊した隊員は前期課程の修了まで本制度による身分取扱となる。))~
1950年代に創設されて以来、[[自衛隊]]の人員供給源として長らく運用されてきたが、現在では廃止されている。~
[[海上自衛隊]]・[[航空自衛隊]]は2006年度(2007年4月入隊)限りで生徒募集を終了、2010年3月の卒業生をもって廃止となった。~
[[陸上自衛隊]]では2008年度(2009年4月入隊)で募集を終了、後継となる「[[高等工科学校生徒]]課程」に移行した。~
この制度改編は、政府及び[[防衛省]]の「総人件費削減」施策による「[[自衛隊]]の定員削減」の一環であると同時に、後述の「少年兵の戦闘参加を禁ずる」国際条約との整合性をとるための施策でもあった。

**少年自衛官と少年兵 [#x8246f98]
少年自衛官の制度は18歳未満の少年を戦場に投入する可能性が生じる、事実上の少年兵制度であった。~
後継制度である「[[高等工科学校生徒]]課程」ではこの点が配慮され、18歳未満での任官を不可能としている(([[高等工科学校生徒]]は高校の卒業資格を得るまで[[防衛省職員>背広組]]であって[[自衛官]]ではない。))。~
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これは、政府及び[[防衛省]]の「総人件費削減」施策による自衛隊の定員削減の一環として行われるものであるが、また同時に、2000年に[[国連総会>国際連合]]で採択された「武力[[紛争]]における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書((この議定書では「18歳未満の自国の[[軍隊]]の構成員が敵対行為に直接参加しないことを確保するためのすべての実行可能な措置をとること」と規定されている。))」を日本政府が2004年に承認し、18歳未満の者を自軍の[[戦闘員]](自衛官)から除外することを国際的に約束したことも理由の一つになっている。~
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とはいえ、制度発足時点での国際法は15歳以上の若者が少年兵であると定義していなかった。~
少年兵に関する法的制約が15歳以上にも拡大されたのは、国際法においては1990年が初出である((「The African Charter on the Rights and Welfare of the Child (ACRWC)」、1990年。))。~
また、日本政府が15〜17歳の少年の兵役を禁止するような効力を持つ国際条約を初めて承認したのは2004年((「武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書」、2004年。))である。~
この承認によって自衛隊生徒の制度に法的問題が発生し、ほどなくして制度改変が行われた。~

***参考 [#ic98b0b2]
外務省ホームページ:武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書~
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty159_14.html

**各自衛隊における生徒課程の教育機関、及び連携する高校 [#k6fca1a3]
| |機関名|所在地|連携する高校|
|陸上自衛隊|少年工科学校((現在は「高等工科学校」に改称。))|神奈川県・武山駐屯地|神奈川県立横浜修悠館高等学校((旧・神奈川県立湘南高等学校通信制課程。))|
|海上自衛隊|第1術科学校生徒部&br;(2011年3月28日廃止)|広島県・江田島基地|広島県立西高等学校((旧・広島県立広島国泰寺高等学校通信制課程。))|
|海上自衛隊|第1術科学校生徒部((かつては「第1術科学校生徒教育部」「少年術科学校」と呼ばれていた。))&br;(2011年3月28日廃止)|広島県・江田島基地|広島県立西高等学校((旧・広島県立広島国泰寺高等学校通信制課程。))|
|航空自衛隊|航空教育隊生徒隊&br;(2011年3月19日廃止)|埼玉県・熊谷基地|科学技術学園高等学校|
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