【将補(自衛官)】(しょうほ(じえいかん))

Général de Brigade(aérienne)(OF-7)(陸将補、空将補) / Contre-Amiral(OF-7)(海将補).

自衛官階級の一つで、の下位に位置する。
旧軍および外国軍の少将に相当する。

なお、かつての前身組織では以下のように呼ばれていた階級がこれにあたる。

  • 警察予備隊
    警察監(乙)及び警察監補
  • 保安隊
    保安監(乙)及び保安監補
  • 海上警備隊
    海上警備監(乙)及び海上警備監補
  • 保安庁警備隊
    警備監(乙)及び警備監補
    (監補は本来、1つ星の准将相当官であったが、自衛隊への改編にあたって実質的に廃止されたに等しい)

陸上自衛隊では陸将補、海上自衛隊では海将補、航空自衛隊では空将補と称し、英語訳ではそれぞれ、Major General(陸将補、空将補)、Rear Admiral(海将補)である。
俸給表では、公務員制度における「指定職」の適用を受ける「将補(1)」とそれ以外の「将補(2)」に分かれている*1

将補以上の昇任・補職及び退職は防衛大臣が内閣総理大臣に上申し、閣議を経て発令されることになっている。

役職

将補は、各自衛隊において(原則として)以下のような役職を務める。

陸上自衛隊
陸幕部長、副師団長、旅団長、団長、学校長など
海上自衛隊
海幕部長、司令、術科学校長など
航空自衛隊
空幕部長、航空団司令、術科学校長など
共同の部隊・組織
情報本部情報官、自衛隊情報保全隊司令、自衛隊体育学校長*2、自衛隊病院長*3防衛駐在官*4*5地方協力本部長(東京・大阪及び沖縄)など

なお、自衛隊法施行令第31条(補職の特例)により、方面総監(陸自)、自衛艦隊司令官・地方総監(海自)*6及び航空総隊司令官(空自)を除く将職の部隊指揮官には将補を充てることもできるようになっており、実際に1970年代までは師団長・地方総監・航空集団司令官及び航空方面隊司令官に将補で就任した者がいた。*7

営門(舷門)将補

前述のように、将補は戦略レベルの部隊指揮官やこれに相当する職種を勤めるべき者が任官されるのが原則であるが、かつてはこれ以外に、一佐で長年勤めた者*8が「退職勧奨」により退官する際、退官が発令される当日に「名誉進級」として将補に昇進した上で退官することもあった。
この事例は公式には「離職時特別昇任」と呼ばれていたが、隊内の俗語では「営門将補(海上自衛隊では『舷門将補』)」と呼ばれていた。

以前はこの場合にも、(実際に将補として勤務していた者と同様)将補の待遇で退職金を計算して支払っていたが、2004年度以降は一佐の待遇で計算することに改められた。

かつては、他の官庁にもこれと類似の「長年の勤続に『より上位の職階へ(形式的に)就任させ、その職階で退官させること』を以て報いる」意義を持った制度があったが、防衛省・自衛隊以外ではこれ以前に廃止になっており、財務省及び人事院から「1日しか在職していない職階(階級)を基準に退職金を計算して支払うのは国庫の浪費」と指摘されたため、この制度に改められた。

その後、2013年11月に国家公務員退職手当法施行令の一部改正によって国家公務員の退職勧奨制度が廃止された*9ため、この事例もなくなった。


*1 この体制になったのは1986年以後である。
*2 所管は陸上自衛隊
*3 将や一佐の階級にある防衛医官(及び、これらに相当する技官を含む)が就任する病院もある。
*4 在アメリカ合衆国大使館駐在の者のうち、「首席」となる一人。
*5 本来は佐官(一佐及び二佐)の役職である。
*6 1970年代まで将または将補職とされていた。
*7 該当者はいずれも、在任1年程度で将に昇任している。
*8 おおむね、一佐で10年以上勤め、なおかつその間に一定の職を勤めた者が対象となっていた。
*9 制度としてはなくなったものの、実際には、いまなお上司から一定の年齢・役職を務め終えると同時に事実上の退職を求められる。

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