【重水炉】(じゅうすいろ)

原子炉のうち、減速材として重水(重水素と酸素の化合物)を使うもの。
重水は中性子線を吸収しづらいため、核燃料として天然のウラニウムなどを使うことができる。
しかし大量の重水を用意することは難しく、また使用後の重水は三重水素(トリチウム)を含むため処理の困難な放射性廃棄物となってしまうといった問題点がある。
また、軽水炉に比べてプルトニウムを生成しやすいことから、使用国に核兵器開発の疑惑が持たれることがある。*1

カナダなど一部の国では原子力発電所に用いられているが、世界的に見れば軽水炉ほど一般的ではない。
これはCANDU炉と呼ばれ、重水が一次冷却水を兼ねる加圧水型の重水炉である。

一方、日本では減速材に重水を、冷却材に軽水を使う新型転換炉が研究され、実験炉「ふげん」が運用されていた。
これは重水の使用量を節約することでコストの低減を図り、さらに核燃料としてプルトニウム混合燃料(MOX燃料)を使用できるようにしたものである。
しかし重水と軽水で個別に循環路を設けるなど機構が複雑なため期待されたほどのコスト低減はできず、また軽水炉でMOX燃料を使うプルサーマルの技術開発がすすんだこともあり、開発中止されている。


*1 インドはカナダ製のCANDU炉で生成したプルトニウムを使って核実験を実施したため、カナダから抗議を受けた。

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