*&ruby(じゅうじほうか){【十字砲火】}; [#ncde2269]
Cross fire

敵を[[包囲]]した状態で2カ所以上から[[火器>ガン]]での攻撃を加える事。~
基本的に直線弾道での[[狙撃]]・[[フルオート]]掃射を指し、[[間接砲撃]]には言及されない。

十字砲火それ自体の実施方法に特殊な手順はなく(([[軍隊]]の基本的な射撃手順は、それが仮に十字砲火であったとしても問題ないよう配慮して行われる。&br;  実際、[[歩兵]]が銃を撃つ時、それが十字砲火でないと断定できる状況はそれほど多くない。))、要諦はいかにして敵を[[包囲]]するかにある。~
従って、別働隊が側面から[[奇襲]]するのも十字砲火だが、[[横隊>隊形]]で2人が並んで同じ敵を撃つのも十字砲火である。

ただし一般的に、射手が相互に長い距離を取っていた方が[[包囲]]の影響が明白で、より有効とされる。

主に[[防御]]戦闘で、敵が[[障害システム]]に拘束されている状態で発生しやすい。~
特に[[要塞]]は、敵部隊の[[突撃]]に対して十字砲火を叩きつけられるように考慮して設計される。~
また、後述の[[誤射]]を避けるため、味方の射線と重ならない高所からの[[トップアタック]]が望ましい。

「十字」と付くのは、発射された弾道が交差する事になるため。~
交差角度は90度に近いのが理論上最適である。そうすれば味方の誰かが敵の視界外の側面から攻撃する事になるからだ。~
交差角度が狭いと敵の[[機動]]を拘束しにくく、単に全員の火力を集中しただけの結果になる(それはそれで重要だが)。~
交差角度が180度に近づきすぎる(前後から挟み撃ちにしようとする)と、味方を[[誤射]]するリスクが発生する。~

十字砲火であるか否かに関係なく、自分の[[キルコーン>有効射程]]に味方がいる時には撃ってはならない。~
また、味方の[[キルコーン>有効射程]]に入るような[[機動]]を行う際は、必ず事前の通達を必要とする。~
しかし交戦中の[[機動]]によって彼我の位置関係が変化すると、この原則を守る事ができない場合がある。

>この理由から、[[ドッグファイト]]においては十字砲火は愚行・悪手である。~
敵味方全員が高速で[[マニューバー]]を繰り返す状況下では、安全な位置関係の確認はほぼ不可能に近いからだ。

関連:[[ベルケの格言]] [[制圧射撃]]

**例1 [#ic72683c]
   □
 
 ↑↑↑↑
 ■■■■
ただ単に大勢で滅多撃ちにしているだけだが、弾道は交差する事になるし、事実上[[包囲]]もされている。

**例2 [#a901849a]
 
  □  ←■
  
  
  ↑
  ■
『□』が完全に[[包囲]]され側面攻撃を受ける事になる理想的な例。~
この状況に至る事ができれば確かに極めて有利だが、戦場でこの状況を作り出すのは困難を伴う。~

**例3 [#s289c4a1]
         │
   □   ← │←■
         │
   ↑     │
 ─ ─ ─ ─ ┘
   ↑
   ■
細線は[[要塞]]・[[障害システム]]・市街地の建造物などの遮蔽物。~

[[防御]]戦闘における理想的な例だが、現代戦でこの状況を維持するのは困難。~
[[有効射程]]内の敵に対しては強力だが、位置が発覚すれば[[アウトレンジ]]攻撃を受ける事になる。

**例4 [#y43d967d]
 
 ■→ □ ←■
最悪の例。典型的な「前後からの挟み撃ち」。~
偶発的な遭遇戦ではこういう状況に陥ってしまう事がある。

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