*&ruby(しゃしゅつざせき){【射出座席】}; [#v7a8710a]

[[炸薬>装薬]]やロケットモーターを備え、座った人間を非常時に椅子もろとも機外へ叩き飛ばす機能を備えた座席。~
[[航空機]]が[[墜落]]を避けられなくなった時に使用し、機体からの[[緊急脱出]]と[[パラシュート>落下傘]]による着陸を補助する。~
現代では高度ゼロ、速度ゼロの状態で事故が発生しても[[パラシュート>落下傘]]の開く高度まで叩き飛ばせる「ゼロ・ゼロ射出座席」が標準となっている。多くの射出座席は捜索のための救難信号を発信するビーコンと、救助が来るまで生き延びるためのサバイバルキットなどがセットになっている。偵察機などの特殊な任務に就く機の場合、得た情報を記録した記憶媒体も座席に組み込まれている場合もある。~
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[[航空機]]から空中降下して[[パラシュート>落下傘]]で着地する場合、機体の下側、後ろ側から降りなければならない。~
前方や上側から降りようとする場合、[[尾翼]]などに激突して死亡する恐れが高いためである。~
しかし[[コックピット]]は視界確保の関係で必ず機体の最前面に配置されているため、緊急時の脱出は危険を極める。~
この問題への対策として、乗員を速やかに機体から離脱させるために開発されたのが射出座席である。大抵は座席の股下部分にフックがあり、これを引くことで射出される。~
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ただし、射出座席でも急加速による強烈な[[G]]、[[航空機]]の速度で叩き付ける風圧などの危険は已然として残っている。~
訓練せずに使用すれば脊椎損傷や骨折などの重傷は避けられず、[[パラシュート>落下傘]]で安全に着地する事もできない。~
また、機体操縦を放棄する事が前提となっているため市街地や輸送機での使用も推奨されない(([[墜落]]した時点で必ず大惨事になる[[旅客機]]ではそもそも搭載されていない))。~
このため、通常は機体と[[パイロット]]の損失を避けられない[[軍用機]]や[[曲技機]]でのみ用いられている。

なお、[[アメリカ軍]]では[[戦闘機]]などの射出座席を装備する航空機へ搭乗する人間には射出座席の訓練を修了することを義務付けている。~
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関連:[[マーチンベイカー]] [[ズベズダ設計局]] [[K-36]] [[Su-26]]

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