【司法警察】(しほうけいさつ)

犯罪捜査とその被疑者の検挙、刑事裁判を行う機関。
法学的には国家の権能のうち「司法権」を管理する機関を指す。
いわゆる警察を筆頭に、国境警備・沿岸警備・軍隊内の憲兵なども含まれる。

国際慣習として、ある国の立法・行政・司法はそれぞれ別の機関が分担する事を原則とする。
つまり、「司法警察」は国法を制定したり、国家予算を策定したり、公共事業を監督したりはしないものと期待される。
とはいえ、全ての国のあらゆる司法警察機関がその「西洋的な原則」に厳密に従っているわけではない。

実際、そういった法学上の慣習を厳密に適用するのは実務上かなりの問題を伴う。
極端な話、職務質問(行政)と現行犯逮捕(司法)を同一組織が兼任してはならない、などといった事になりかねない。

軍隊とも区別されており、叛乱の鎮圧などといった軍事的な任務に司法警察は関与しないのが原則である。
しかしこれも実務上では黙殺せざるを得ない部分が多く、多くの国では司法警察官に武装が貸与される。
また、治安維持部隊や特殊部隊など、広義の軍事に含まれる機能を司法警察が備える事も多い。

軍隊とは官僚制度的に競合・対立するため、司法警察は軍隊ほどの重武装を持たないのが普通*1であるが、内戦の渦中にある国にあっては、陸軍の一般的な歩兵と互角に戦える武装を持つ警察は珍しいものではない。
平和な地域であれば武装は強く規制されるが、およそどのような司法警察でも拳銃は捜査の必需品とされる。

関連:憲兵 公安警察 秘密警察 特別司法警察職員


*1 常識的に見て、犯罪捜査や暴徒鎮圧に自走榴弾砲マルチロールファイターなどは不要であるが、自動小銃装甲兵員輸送車はどうか、というと、これは微妙なところである。

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