【司法警察】(しほうけいさつ)

既に行われた犯罪に対する強制捜査やその被疑者の検挙などを行う「司法権」に属する機関。もしくはその捜査活動のこと。
日本においては、警察を筆頭とし、海上保安庁自衛隊警務隊など、後述の通り多数の組織がある。外国では国境警備隊、沿岸警備隊、憲兵隊などがある。

この対概念として、規制行政等によって平時から秩序維持を目的とする活動は行政警察と呼ばれ行政権に属するが、実際には警察等が行政警察活動を行うこと(警察のパトロールや職務質問など)もあるため、行政警察と司法警察の組織上の区分は厳格ではない。

警視庁公安部のように諜報活動を行う組織は、司法警察よりは行政警察に近い組織と云えるが、特定の対象に対して諜報活動を行う機関は公安警察と呼ばれ行政警察と区別されることが多い。

参考リンク:
http://www010.upp.so-net.ne.jp/kawadai/police/police.html
http://www010.upp.so-net.ne.jp/kawadai/special/special.html

司法警察職員

日本の法制度では、司法警察の活動に従事する行政機関等の職員を刑事訴訟法で「司法警察職員」と定義づけており、更にこれを「一般司法警察職員」(警察官)と「特別司法警察職員(特定の行政機関等の職員のうち、その業務に関連する事案について司法警察権を行使できる者)」に分けている。*1*2
(更にこれらを、捜査官としての諸権限が行使できる「司法警察員」、行使できる権限の一部が制限されている「司法巡査*3」と分けている)
以下にその概要をまとめた。

  • 一般司法警察職員
    • 警察官
  • 特別司法警察職員
    • 拳銃等の武器携帯権あり
      • 海上保安官(海上保安庁)
      • 麻薬取締官(厚生労働省医薬局)
      • 麻薬取締員(各都道府県庁)
      • 皇宮護衛官(警察庁皇宮警察本部)
      • 刑務官(法務省矯正局)
      • 自衛隊警務官(防衛省
        陸上自衛隊の「保安部隊」及び師団・旅団の「警務保安隊」所属の警務官については権限停止中。
    • 武器携帯権なし
      • 労働基準監督官(厚生労働省労働基準局)
      • 鉱務監督官(資源エネルギー庁原子力安全・保安院)
      • 船員労務官(国土交通省海事局)
      • 漁業監督官(水産庁)
      • 漁業監督吏員(各都道府県庁)
      • 森林管理局員(林野庁)
      • 鳥獣保護・狩猟事務担当都道府県職員(各都道府県庁)
      • 公有林野事務担当北海道庁職員(北海道庁)
      • 船長等
        総排水量20トン以上で、沿海以上の航行能力がある船舶の船長及び機関部・甲板部・事務部の責任者である船員。*4
  • 廃止されたもの(第二次世界大戦後に設置されたものに限る)
    • 経済監視官(旧内務省)*5
    • 経済調査官(経済調査庁[現:総務省行政管理局・行政評価局])
    • 鉄道公安職員(日本国有鉄道[現:JRグループ各社])
      ※現在は警視庁及び道府県警察の「鉄道警察隊」に承継*6
    • 国鉄職員(日本国有鉄道[現:JRグループ各社])
      ※上記の「鉄道公安官」とは別に、国鉄の役員・駅長・助役・車掌などにも司法警察権限が与えられていた。
    • 専売監視員(日本専売公社[現:日本たばこ産業株式会社])
    • 郵政監察官(郵政省→郵政事業庁→日本郵政公社[現:日本郵政グループ各社])*7

*1 この他、国税庁監察官や検察庁事務官も司法警察職員に準じるものとされている。
*2 特別司法警察職員の扱う事案については一般の警察官も捜査することが可能である。
*3 警察官の階級としての「巡査」とは直接関係がない。
*4 ただし実際には、船内では被疑者を拘束するのみで、爾後の処置は海保、もしくは寄港地(あるいは航行中の海域)を領有する国の司法警察機関へ委ねることが多いようである。
*5 実務上は警察官の一部、あるいは戦地から復員してきた元警察官をあてていた
*6 ただし、県内に鉄道がほとんどない沖縄県警には未設置
*7 現在はグループ統括会社「日本郵政株式会社」の内部監査担当社員になっており、司法警察権限は失われている。

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