【混成団】(こんせいだん)

Combined Brigade*1.

日本の陸上自衛隊で採用されている(戦略級)部隊編成のひとつ。
かつて、師団・旅団と同様の正面戦闘部隊として編成されていた「(番号付き)混成団」と、21世紀になってから編成された「方面混成団」の2種類がある。

(番号付き)混成団

1954年の陸上自衛隊発足当時に採用されていた部隊編制。
師団や旅団に準じて複数の職種部隊を隷下に置き、所在地域の防衛警備を担当する部隊とされていた。

1954年の陸自発足当初、部隊の編制は警察予備隊当時に定められた「方面管区制」を基本とし、警察予備隊→保安隊から引き継いだ4個の「管区隊*2を「戦略級」部隊として置いていた。
陸自の発足に伴って、これを「10個の作戦単位」に拡張することが目標とされ、第5第6の2個管区隊が設置される一方で既存の管区隊の規模が縮小されたが、これでも(当時の国家予算及び政治的な事情から)目標の達成は困難とされた。
そこで「ミニ管区隊」の役割を果たす部隊編制として、アメリカ陸軍の「連隊戦闘団」などをベースに採択されたのが(番号付き)混成団であった。
この(番号付き)混成団は1955年〜1958年にかけて、以下の4個部隊が編成された。

この4個混成団は1962年、師団制の採用に伴ってすべて師団へ格上げ改編されたため、「(番号付き)混成団」はいったん陸自から姿を消したが、1972年の沖縄諸島返還に伴い、同地を防衛するために「第1混成団」が編成され、さらに1981年には四国及び淡路島*3防衛のために「第2混成団」が編成された*4
しかし、冷戦終結後の軍縮の流れの中で部隊の改編が検討され、1995年策定の防衛大綱で「旅団」編成が導入されたことに伴い、第2混成団が2006年に第14旅団、第1混成団が2010年に第15旅団へと改編され、番号付き混成団は姿を消すことになった。

方面混成団

Army Combined Brigade.

21世紀になってから採用された部隊編制で、それまで方面総監の隷下で新隊員及び陸曹候補生の共通教育を担当していた教育部隊(教育団・教育連隊)を基礎に、師団・旅団の隷下にあったコア部隊を統合したもの。
平時には予備自衛官自衛官候補生や各種術科教育を受ける隊員の教育・訓練を受け持ち、有事には予備自衛官を集中的に受け入れて方面総監隷下の予備兵力となる。

編制

混成団の編制は時期によりそれぞれ異なるため、各時期ごとに記載する。

初期

  • 普通科歩兵)連隊×1(4個普通科大隊・重迫撃砲中隊・戦車中隊各1・衛生中隊)
  • 特科砲兵)連隊×1(直接支援・全般支援・高射大隊各1)
  • 施設大隊
  • 偵察中隊
  • 飛行隊
  • その他後方支援部隊

総兵力は6,100名におよび、旧陸軍及び諸外国の陸軍では「独立混成旅団」に相当する部隊であった*5

1970〜80年代(第1・第2混成団)

下記に述べる編制は、いずれも「旅団」改編前の最終状態である。

  • 第1混成団
    • 第1混成群(普通科部隊。実働兵力は2個中隊程度)
    • 第6高射特科群
    • 第101後方支援隊
    • 第101飛行隊
    • 第101不発弾処理隊
    • 第430会計隊
    • 第416基地通信中隊
    • 第1混成団音楽隊
  • 第2混成団
    • 第15普通科連隊
    • 特科大隊
    • 施設隊
    • 後方支援中隊

第2混成団が1個普通科連隊を基幹とする「ミニ師団」だったのに対し、第1混成団の編制は(地域の特性から)他の師団と大きく異なっていた。

2000年代以後(方面混成団)

前記の(番号付き)混成団では指揮官は将補とされていたが、方面混成団では指揮官には一佐が割り当てられている。

  • 普通科連隊×1〜2(コア部隊
  • 陸曹教育隊
  • 教育大隊
  • 機甲教育隊(東部方面混成団のみ)
  • 女性自衛官教育隊(東部方面混成団のみ)
  • 冬季戦技教育隊(北部方面混成団のみ。特殊部隊としても扱われている)

*1 直訳すると「混成旅団」。
*2 発足当時、定員15,200人であった。
*3 後に第3師団の担当に変更された。
*4 それまでは広島県・海田市に司令部を置く第13師団が四国の防衛も担当していた。
*5 兵員数だけで見れば、現在の陸自における「師団」と大差ないが、当時の管区隊は12,700人もの兵力を擁する歩兵師団であり、大陸国家の陸軍と大差ない編制であったことも考えると、一概に比較もできない。

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