【国連軍】(こくれんぐん)

  1. 国際連合(国連)憲章の規定により、侵略行為に対する軍事的措置を行うために国連が組織する軍隊
    安全保障理事会(安保理)の決議によって加盟各国から部隊を拠出して組織され、国連の統制下にて任務を遂行する。
    朝鮮戦争の際の「国連軍」は、国連の統制下にはなかった*1ため厳密にはこれに含まれず、ゆえに、いまだかつて組織されたことは無いといえる。

  2. 国連が、紛争地域の平和維持活動(停戦監視・選挙の運営管理や各交戦勢力の兵力引き離しなど)を行うために編成する軍隊で、具体的には「平和維持軍(PKF)」や「停戦監視団」などのこと。
    こちらは前記1.とは違い、総会の決議によって加盟各国から部隊を拠出して組織され、国連の統制下にて、必要最小限の武器使用権限のみを与えられて個々の目的を達成する。
    参加する各国部隊の将兵は、自軍の軍服(戦闘服)に、水色のベレー帽*2やヘルメットをかぶることから「ブルーベレー」「ブルーヘルメット」と通称される。
    また、車両は国連所属であることを明記するため車体を白色に塗装され、「UN」(United Nationsの略)と大書されている。

    わが国は1956年に国連に加盟して以来、憲法との関連からこうした活動に長らく参加してこなかったが、1992年、国際平和協力法に基づいて「国連第2次アンゴラ監視団(UNAVEM 2)」に初参加(この時は3名の自衛官を選挙監視要員として派遣した)。
    そして、同年に参加した「国連カンボジア暫定機構(UNTAC)」には、陸海空3自衛隊がそれぞれ部隊を拠出*3
    以後、活動が本格化していくことになる。


    (2011年2月)現在、自衛隊は以下の活動に参加している。
    • ハイチ派遣国際救援隊(国際連合ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH))
      派遣期限は2012年1月31日まで。
      現在は陸自中部方面隊基幹の第4次隊が活動している。
      日本以外の参加国はアルゼンチン、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、エクアドル、フランス、グアテマラ、ヨルダン、ネパール、パラグアイ、ペルー、フィリピン、韓国、スリランカ、アメリカ、ウルグアイ。

    • ゴラン高原派遣輸送隊(ゴラン高原国連兵力引き離し監視軍(UNDOF))
      派遣期限は2011年3月31日まで。
      現在は陸自第4師団基幹の第30次隊が活動している。
      日本以外の参加国はオーストリア、カナダ、クロアチア、インド、フィリピン。
      (なお、自衛隊は本任務に1996年から参加しており、これまで参加したPKF活動の中では最長の活動期間記録を更新している)

    • 国連スーダン派遣団(国際連合スーダン・ミッション(UNMIS))
      派遣期限は2011年6月30日まで。
      現在は第5次要員として、陸上自衛隊から派遣された2名の幕僚(原隊は中央即応集団)が活動している。
      日本以外の参加国は以下の通り。
       オーストラリア、バングラデシュ、ベルギー、ベニン、ボリビア、ブラジル、ブルキナ・ファソ、カンボジア、カナダ、中国、クロアチア、デンマーク、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、フィジー、フィンランド、ドイツ、ガーナ、ギリシャ、グアテマラ、ギニア、インド、インドネシア、イラン、ヨルダン、ケニア、キルギスタン、マレーシア、マリ、モルドバ、モンゴル、ナミビア、オランダ、ニュージーランド、ナイジェリア、ノルウェー、パキスタン、パラグアイ、ペルー、フィリピン、ポーランド、韓国、ルーマニア、ロシア、ルワンダ、シエラレオネ、スリランカ、スウェーデン、スイス、タンザニア、タイ、トルコ、ウガンダ、ウクライナ、英国、イエメン、ザンビア、ジンバブエ。

    • 国連東ティモール統合派遣団(UNMIT)
      派遣期限は2011年4月30日まで。
      現在は「軍事連絡要員」として2名の陸上自衛官が活動している。
      日本以外の参加国はオーストラリア、バングラデシュ、ブラジル、中国、フィジー、インド、マレーシア、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、ポルトガル、シエラレオネ、シンガポール。


*1 安全保障理事会において、常任理事国であるソ連が拒否権を発動したものの、アメリカがこれを無視して強行的に編成した。
*2 国連の紋章である「オリーブの冠を巻いた地球儀」のバッジがつけられる。
*3 この他に、警視庁・道府県警察から「文民警察官」として派遣された警察官や一般公務員、ボランティアの民間人も参加した。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS