【国家総力戦】(こっかそうりょくせん)

敗北する事が国家体制の崩壊を意味するような戦争。必然的に、国家が持てる総力を賭して取り組む戦争でもある。「全面戦争」とも。
政府の権力で国民全員を統制できる体制に関してのみ用いる用語で、封建制のように国力を総動員できない国家、一度の会戦で国民全員が皆殺しにされかねない小規模な都市国家による戦争は含まれない。

仮想敵国の軍事力が自国と同等かそれ以上であると推定され、将来の開戦は避けられず(あるいは既に開戦しており)、仮想敵国が現状の体制で存在し続ける限り状況を改善できる見込みがない場合、これを解決するために開始される。
また、仮想敵国と全面戦争に突入した場合に備え、国力を向上させるために第三国に侵攻する事もある。この種の侵略には仮想敵国の横槍が入る事が珍しくないため、一見不要に思えるような場合でも国家総力戦に備えた体制に移行する事がある。

国家総力戦に備えた体制に移行する事は、それ自体が国力を疲弊させ国家体制を崩壊に導く一因となる。
国家が総力を挙げるという事は、経済と産業、科学技術、人口、文化を維持発展させるために費やされるべき人材や資産を犠牲にする事に他ならないからである。

……とはいえ、そのような軍事偏重の体制で国を痩せ細らせるのと、軍備が不十分なまま他国との全面戦争に突入するのと、どちらのリスクがより重大であるのかは為政者や体制によって意見の分かれる所である。

関連:徴兵制 富国強兵 統制社会 不戦条約 軍事ケインズ主義


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