【航空巡洋艦】(こうくうじゅんようかん)

航空母艦航空機運用能力と、巡洋艦の戦闘力を兼ね備えるべくつくられた艦艇
ただし実際には性能が中途半端になるため、実用例はほとんどない。

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第二次世界大戦時代

第二次世界大戦中、実験的にいくつかの航空巡洋艦が運用された。

日本海軍は重巡洋艦最上」が後部甲板を飛行甲板に改装している。
また、スウェーデン海軍では軽巡洋艦「ゴトランド」が新造されている。
ただし、いずれも砲座との兼ね合いで着艦に必要なスペースを確保できない水上機母艦であった。

冷戦時代のソ連海軍

冷戦時代、ソ連軍はいくつかの航空巡洋艦を就役させている。
それらは軽空母としての艦載機運用能力に加えて、巡洋艦に匹敵する重武装が施されている。

ソビエト連邦はその地勢上、海軍の運用に多大な制約を抱えている。
ソ連の造船所・不凍港は黒海沿岸に集中しており、太平洋側に艦隊を集結させるのが困難である。
また、黒海と地中海を繋ぐボスポラス海峡は戦艦級以上の大型艦艇の航行が禁じられている*1

このため、ソ連海軍がアメリカ空母打撃群艦隊決戦を挑むのは現実的でなかった。
この見解に基づいて艦載機は軽視され、ミサイルに偏重するドクトリンが採用された。
結果、艦載機運用のみに特化した軽空母の代わりに、自衛能力を持つ巡洋艦が必要とされた。

また、ミサイルの小型化が難航したため、自衛のための武装が著しく大型化した。
この結果として巡洋艦に匹敵する武装となり、純粋な航空母艦としては運用できなくなっている。

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*1 モントルー海峡条約による

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