【航空主兵主義】(こうくうしゅへいしゅぎ)

「海戦の優劣は航空機(特に航空母艦に搭載する艦載機)により決する」という軍事思想。
1930年代ごろから一部で叫ばれていたが、当時の海軍の主流だった大艦巨砲主義者には「航空機戦艦装甲は破ることは出来ない」と、相手にされていなかった。

しかし第二次世界大戦が勃発後、英海軍のソードフィッシュによるドイツ戦艦「ビスマルク」攻撃や、真珠湾攻撃マレー沖海戦珊瑚海海戦等で有効性が実証されてその後の海戦の主流となり、大型の戦艦は過去の遺物となった。

(こうした歴史的経緯からか)この思想は大艦巨砲主義の対義語のように使われる事が多いが、実は本質的にはなんら変わりない。
遠距離の敵に届く強力な大砲(巨砲)が艦載機に、それを搭載するのが戦艦から航空母艦にそれぞれ変わっただけである。*1
この事から、航空主兵主義とは大艦巨砲主義の延長であるとも言える。

しかし、そもそも大艦巨砲主義自体が「味方の損害は最小に、敵の損害は最大に」という戦術の基本原則の延長線上にあるため、どちらもこれを実践するために最も適当なもの(だったもの)だと言え、延長というよりも「航空主兵主義≒大艦巨砲主義」と言った方が適切だろう*2


*1 本来空母艦隊は多用途性に優れるものだが、日本海軍は艦隊決戦を偏重するあまり、空母を通商破壊戦や対地攻撃に投入することはほとんどなかった。
*2 更に戦略レベルまで話を広げれば、海軍の存在意義の最たるものである「制海権の確保・維持」を実現するためのもの、とも言える。

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