【航空師団】(こうくうしだん)

Air Division.

空軍(もしくは陸軍海軍*1の航空部隊)における戦闘部隊の単位。「飛行師団」とも。
陸軍の(一般的な)師団と同様、6,000〜15,000人程度の集合とされ、戦略上の基本単位となる。

国・時代によってその位置づけには細かな差異がある。
以下にその一例を述べる。

アメリカ空軍
空軍創設の1948年から運用され、1992年の再編で廃止された。
序数航空軍と航空団を中継する単位として存在し、師団長は概ね准将であったが、一部に少将や大佐が充てられた。
制度廃止後は隷下の航空団が師団規模まで拡大・統合された。

なお、現在のアメリカ空軍の航空団は、おおむね陸軍の1個師団に相当する。

アメリカ陸軍
ベトナム戦争時、インドシナ地域に駐留する航空部隊の上級単位として「第1航空旅団」が編成されていた。
同旅団には、各歩兵師団及び空中機動師団(第1騎兵師団*2及び第101空挺師団)隷下に入っていない陸軍航空部隊*3が組み込まれ、最盛期には(一般的な師団をも上回る)25,000名近い兵員と4,000機以上の固定翼機・ヘリコプターが指揮下に入っていた。

第1航空旅団はベトナム戦後に解隊されたが、その後、さらなる改編を経て、現在は「旅団戦闘団*4」のひとつとして「戦闘航空旅団」が存在しており、一部の師団にも組み込まれている。

ソ連→ロシア空軍
かつて、3個の飛行連隊を束ねた上級単位として航空師団を編成していた。
師団長には大佐ないし少将が充てられていた。
現在は再編によって連隊・師団ともに廃止され、代わりに「航空基地」を編制単位としている。

未確定だが、今後、再度の再編成で航空師団の制度が再度導入される動きもあるという。

イギリス空軍
「飛行集団(Group)」が一個航空師団に相当。司令官は代将ないし少将
1940年代のバトル・オブ・ブリテン以降、飛行隊の直上に司令官を置く簡素な指揮系統が採用されている。

旧日本陸軍航空隊
複数の飛行団を束ねる上級司令部として編成されており、「飛行集団」をその前身とする。
師団長は中将職だが、実際には少将も「師団長心得」としてその職にあった。
太平洋戦争末期には本土防空戦のために指揮系統が簡素化され、飛行師団司令部が直接戦隊を指揮するようになった。

なお、実戦部隊を擁する師団のみが「飛行師団」、教導部隊などは「航空師団」として区別されていた。

航空自衛隊
旧陸軍航空隊の「飛行師団」に相当する組織として、航空総隊隷下の「航空方面隊」・航空混成団がある。


*1 海軍の航空部隊については(海軍においては「艦隊」が戦略的な部隊単位の基本となることから)「航空艦隊」と呼ばれる場合もある。
*2 この時の第1騎兵師団は「第11空中強襲師団(戦略的なヘリボーン作戦に関する実験部隊)」と第2歩兵師団から抽出された兵力で構成されていた。
  現在の第1騎兵師団は、その後のさらなる改編により機甲師団になっている。

*3 南ベトナムに派遣されていた軍事顧問団や兵站グループ隷下の部隊。
*4 列国の陸軍における「連隊」とほぼ同格の組織。連隊とは異なり、独立した兵站機能を持つ。

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