【航空機関士】(こうくうきかんし)

Flight Engineer(フライトエンジニア).

航空機の搭載機器の運転・監視・調整を行う乗員

取り扱うのは主に機関(エンジン)・与圧系・空調・燃料タンク・油圧ポンプ・電気系統など。
機体重量や離陸速度など、機体の詳細を知っていなければ算出できない細かな技術的計算も担当する。
必要であればフラップランディングギアスロットルレバーを直接操作する事もできる。
通信機器は専門外だが、別途に資格*1を取得して航空通信士を兼任している場合もある。

日本では、「構造上、操縦者だけでは発動機及び機体の完全な取扱いができない航空機」には航空機関士の搭乗が義務付けられている*2

航空機は構造が複雑で、管理すべき情報も多く、特に大型機ではパイロット一人では運転監視できないほど計器が増える。
このため、動力系の監視・機器の運転調整を受け持つ乗員として航空機関士が設定された。
しかし今世紀ではグラスコックピットなどの電子制御技術に活躍の場を奪われ、業界から姿を消しつつある。
現在でも航空機関士の乗務を要する機体には、B747の一部*3DC-10Il-96などがある。

なお、軍用機では2人乗務が可能な機体であっても緊急時に対応するために搭乗していることがある。

日本では2009年7月、日本航空クラシックジャンボ退役を機に民間航空業界から完全に姿を消した。

関連:アビオニクス 2マンクルー 3マンクルー 4マンクルー 5マンクルー グラスコックピット

自衛隊の航空機関士

自衛隊では現在でも以下の機体に「航空機関士」と称される職種の乗員が割り当てられている。
これは隊内でのみ通用する航空士の一種であり、航空機整備員から選抜される。
自衛隊の航空機関士は航空法での資格とは無関係。混同を避けるため「機上整備員」と称する事もある。


*1 日本では総務省の所管する「航空無線通信士」または「航空特殊無線技士」の資格。
*2 かつては「4基以上の発動機を有する航空機」「3基の発動機を有し、且つ、35,000kg以上の最大離陸重量を有する航空機」にも搭乗義務があった。
  しかし、現在ではコンピュータ制御技術の発展に伴ってこの規定は削除され、本文中の規定にまとめられている。

*3 -300型以前の、いわゆる「クラシックジャンボ」と呼ばれるモデル。

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