【固体燃料ロケット】(こたいねんりょうろけっと)

ロケットエンジンの一種。
酸化剤燃料を固形化した状態で燃焼室の内壁に貼り付けておき、それに点火して燃焼させる。
推進剤の種類としては燃料(液体合成ゴムなど)と酸化剤(過塩素酸アンモニウムなど)を混合したものを用いる。
モデルロケットのような小型のものでは黒色火薬が用いられている。

液体燃料ロケットに比べ、タンクやターボポンプなどの部品を必要としないため、比較して構造コストは安い。
また燃料を重量に含めない上での推力重量比に優れるが、液体燃料に比べて比推力の少ない燃料を使うため、液体燃料ロケットに比して、同じペイロードを打ち上げるのに必要な燃料は多くなる。

推進剤はケース内で着火され、その燃焼ガスはスロートと呼ばれる絞りで圧縮された後、ノズルから放出される。
そのため、ロケット内面も高温ガスや高圧から保護する必要がある。
よって、ケースが大型になるロケットには適さない。
また、推進剤に一度火がつくと、基本的には燃え尽きるまで火が消せないため、推力の制御はきわめて困難であり、有人での主エンジンには適さない。
実際の燃焼中の推力の制御は、ケース内部の空洞の形状を工夫することにより、事前に決めることになる。
また、消火装置を組み込んだり、ケース内部圧力の開放弁を取り付けることにより消火することも不可能ではない。

用途としては、ロケット弾や高速飛翔するミサイルの主推進装置、巡航ミサイル対艦ミサイルの初期加速用ブースター?などに適する。
また、宇宙ロケット?などを打ち上げる際の補助として、固体燃料ロケットブースター(SRB:Solid Rocket Booster)として使われることも多い。

日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構。宇宙開発事業団と宇宙科学研究所を統合した団体)が運用している学術調査用ロケット「ミュー5型(M-V)」は、世界でほぼ唯一の「全段固体燃料ロケットで月まで行ける」ロケットで、世界にも誇れる性能を持つが、自国民にはこのことが殆ど知られていない。

参考リンク JAXAスペース百科 固体燃料ロケットと液体燃料ロケット( http://spaceinfo.jaxa.jp/note/rocket/j/roc03_j.html )

また、最近は燃料のみを貼り付け、酸化剤をポンプでケースに供給する新しいタイプの固体燃料ロケットの研究が進められている。


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