【原子力空母】(げんしりょくくうぼ)

動力を原子炉による蒸気タービンで賄う航空母艦

艦自体が燃料補給を必要としなくなる*1ため、艦載機を運用するためのペイロードが大幅に増強される。
また、莫大な余剰出力を確保する事で、電力供給や蒸気カタパルトをほぼ無制限に運用できる。
燃料の排煙が生じないため煙突などを設置する必要がなくなり、また排煙による乱流が生じないため離着陸が比較的安定する。
こうした特性により、通常動力空母の限界を超える絶大な投射弾量を確保する事が可能となる。

一方、原子炉を取り扱うために多くの専門技術者と多大な工数、放射性廃棄物など運用上の問題がいくつか生じる。
この問題が艦の運用コストを増大させるため、効率化のために大型化が必要となり、基本的に正規空母である必要がある。
現存する原子力空母は正規空母の基準で考えてさえ極度に巨大であり、そのユニットコストは極めて膨大である。

また、空母は艦隊の構成要素であり、そして僚艦はほぼ全て通常動力である。
単艦単位で考えても艦載機は膨大なジェット燃料を必要とするし、人員も生活物資や休養を必要とする。
このため、原子力の採用は艦隊全体の運用効率、兵站負荷という観点では通常動力に比べて非効率的である。

主な原子力空母


*1 大規模なメンテナンスに際して燃料棒の交換も行われる。

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