【原子力艦再利用プログラム】(げんしりょくかんさいりようぷろぐらむ)

Ship/Submarine Recycling Program(SRP).

アメリカ海軍において、旧式化した原子力艦船(水上艦潜水艦)を処分するために行われるプロセス。
ワシントン州ブレマートンのピュージェット・サウンド海軍造船所で実施されている*1

このプログラムによって処分される艦船は、まず原子炉に装荷されている核燃料を撤去され、同時に艦名を「USS-Name」→「ex-Name(元xxx)」と改められる*2
撤去された核燃料はアイダホ州にある「アイダホ国立研究所(INEEL*3)」内の「海軍原子炉施設(NRF*4)」に鉄道輸送され格納される。

なお、原子炉から撤去された核燃料は再利用のための処理を行わず、撤去されたままの状態で格納される。

その後、船体はピュージェット・サウンドに曳航され、前部・原子炉区画・(あれば)ミサイル区画・後部の3つか4つに切断される。
ミサイル区画は「戦略兵器削減条約(START)」に従って解体され、原子炉区画は両端を密閉した上、艀や重量物運搬車によってワシントン州ハンフォード・サイト*5へ運ばれて埋立処理される*6
残りの部分は有害物質を除去した上でスクラップとして売却、あるいは再利用される*7


*1 なお、プログラムの準備作業は同造船所以外でも行われている。
*2 この時、同時に再利用可能な設備も取り外される。
*3 Idaho National Engineering and Environmental Laboratory.
*4 Naval Reactor Facility.
*5 米国ワシントン州東南部にある核施設群。第二次世界大戦中、原子爆弾を開発した「マンハッタン計画」においてプルトニウムの精製が行われた場所である。
*6 なお、この埋立地は「600年間放射性物質を外部に漏出させない」とされている。
*7 当初は前部と後部を再接合して保管・係留したうえで実艦標的などに使うことも検討されたが、環境保護局と沿岸警備隊から「有害物質の除去」を要請されたため現在の形になったという。

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