【元帥】(げんすい)

軍人の階級、もしくは称号のひとつ。
「階級」とされた場合は将官の上位に位置づけられ、職業軍人の最高位階級となるのが一般的だが、国・時代によってその位置付けはバラバラである。
また、国家・軍に対して特に大きな功績のあった将官や国家元首への「名誉称号」として与えられる国や、そもそもその制度自体がない国家及び軍隊(自衛隊など)もある。

日本における「元帥」

日本軍においては明治初期の建軍時、階級のひとつとして設置され、西郷隆盛(薩摩藩)が最初の「陸軍元帥」に任官されたが、間もなく階級自体が廃止される(この時、西郷は陸軍大将になった)。
その後、明治31年(1898年)に制定された「元帥府条例」により、陸海軍大将のうちで特に大きな功績を残した者に「称号」として与えられることになり、この称号を贈られた者は
「元帥陸軍大将勲一等功一級 山田太郎」
「元帥海軍大将勲一等功一級 田中次郎」
などというように公式書類では表記された。

一般に、軍人はその階級に定められた一定の年齢が来ると予備役・後備役へ退くが、日本においては元帥号を受けた者のみ「終身現役」と定められており、また、第二次世界大戦までは部隊指揮官の職から退いた大将に与えられるのが慣例となっていたことから、海軍の東郷平八郎日露戦時の連合艦隊司令長官)や伏見宮博恭王(皇族。昭和初期〜大東亜戦争直前まで軍令部長を務めた)のように、「軍最先任将校」としてその発言が大きな影響を及ぼすこともあった。*1

ちなみに、旧大日本帝国憲法下で在位した三人の天皇(明治天皇・大正天皇及び1945年までの昭和天皇)は、同憲法の規定で統帥権を持ち、全軍の最高指揮官と位置付けられていたことから「大元帥陛下」と呼ばれることもあった。*2


*1 中将→大将への昇進の際、その者より先任および同期の中将は全員予備役へ強制編入されるため。
*2 なお、軍人としての階級は「(元帥号を持つ)陸軍大将兼海軍大将」となっていた。

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