【憲兵】(けんぺい) †

英語では「Millitary Police(MP)」と呼ばれる、軍隊の兵種のひとつ。
平時には兵舎・基地・船舶及びその他の軍事施設内において警察権を行使し、将兵の秩序・規律を維持するのが任務となっているが、戦時にはこれに加え、移動する味方部隊の交通整理や戦時捕虜の監視なども行う。
警察権を行使することから、勤務に際しては制服に加え、容易に憲兵であることを識別できるような特殊な徽章・腕章などを着用することが多い。

また、国によっては、憲兵が警察権を行使できる範囲を軍の内部だけではなく民間人にまで広げ、場合によっては国境・領海警備や国内における武装工作員・大規模暴動への対処まで受け持つ「国家憲兵」制度を採用しているところもある。
国家憲兵制度を採用している国は、フランスやイタリア・オランダ・トルコなどの欧州圏諸国に多い*1。


現在の自衛隊では、憲兵に相当する者を「警務官」と呼び、刑事訴訟法の規定による「特別司法警察職員」に指定している。
ただし、厳密に「警務官」と呼ばれ、刑事訴訟法上の「司法警察員」（犯罪捜査に関する諸権限を行使できる者）に指定されているのは3等陸海空曹以上の階級にある隊員である。
一方、士長以下の階級にある隊員は「警務官補」とされ、刑事訴訟法上では「司法巡査*2」となっている。
また、陸上自衛隊で「保安部隊（各方面隊隷下の保安中隊・師団及び旅団司令部隷下の"警務保安隊"）」に属する警務官については、警察権の運用が停止されている。

警務官の主な任務は
「自衛官が関与した、または自衛隊の施設・船舶内で起きた犯罪の捜査や被疑者の逮捕」
「交通統制、要人警護、施設警備」*3
「隊内の防犯、規律違反の防止」*4
とされている。

*1 旧日本軍の憲兵制度も、フランスの国家憲兵をモデルにして作られた
*2 犯罪捜査に当たり、行使できる権限が一部制限されている者。なお、警察官の階級である「巡査」とは直接関係がない
*3 陸上自衛隊では「保安部隊」がこれを受け持つ
*4 この業務のひとつに「脱柵した隊員の捜索」もある

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