【警察予備隊】(けいさつよびたい)

1950年(昭和25年)、当時の日本を占領下に置いていたアメリカが、朝鮮戦争へ在日米軍を派兵する上で空白になる日本の治安維持を目的として日本に設立させた武装組織。
英文表記では「Reserved Police」。

当時の連合国軍総司令官、ダグラス・マッカーサー将軍が吉田茂首相へ防衛組織設立に関する書簡を送ってから2ヶ月足らずというあまりにも短い期間で創立されたため、法制度を殆ど整えることできず、憲法解釈等を強引に推し進めたため、現在でも憲法問題の影響を残している。*1
設立の主目的も「警察力の補完――治安維持」とされ、内閣直属の「警察軍」的な位置づけがなされていた(このため、初期に採用された隊員の試験には警察官と同様の「指紋採取」などの項目もあったという)。

とはいえ、当時の警察予備隊は本格的な防衛活動をするだけの能力を持っておらず、米軍から貸与されたアメリカ製装備や、第二次世界大戦終戦後の武装解除で連合国軍(主に米軍)に接収された後、再返還された旧軍装備をかき集めてなんとか「武装組織」としての体裁を整えていたものの、訓練の殆どは体力練成という状態であった。
1951年、ルース台風の被害を受けた山口県で創設以来はじめての災害派遣を行い、以後の災害派遣の前例となった。
1952年に「保安隊」へ改編、さらに1954年に陸上自衛隊となった。

組織構成の概要

警察予備隊の組織概要は次の通りであった。

  • 内閣
    • 内閣総理大臣(最高指揮権を有していた)
    • 警察予備隊担当国務大臣
  • 警察予備隊本部(警察予備隊本部長官以下約100名)
    • 長官官房
    • 警務局
    • 人事局
    • 装備局
    • 経理局
    • 工務局
    • 医務局
    • 警察予備隊建設部
    • 警察予備隊地方建設部(全国4ヶ所)
  • 警察予備隊総隊(総隊総監以下約75,000名。実働部隊)
    • 総隊総監部
    • 4個管区隊(師団相当。各隊約15,000名)
    • 総隊総監部直轄部隊

余談

近年、ネット上(主に一部のブログ)で、アメリカ軍の攻撃で在来政権が崩壊したアフガニスタンやイラクなどで、親米派政権によって作られた軽武装の治安維持組織を(かつての日本での経緯になぞらえて)「警察予備隊」と呼称しているものが散見されているという。


*1 代表的な例に「恵庭事件」「百里基地訴訟」「長沼ナイキ事件」などがある

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