【警察予備隊】(けいさつよびたい)

Reserved Police

1950年(昭和25年)、日本の治安維持を目的として設立した武装組織。
当初は内閣直属の「警察軍」という位置付けで、初期採用における入隊試験には警察官と同様「指紋採取」などの項目があった。
1951年、山口県での台風被害に際して災害派遣を行い、以後の災害派遣の前例となっている。
1952年に「保安隊」へ改編、さらに1954年に陸上自衛隊へと改編された。

設立の主目的は朝鮮戦争への派兵で生じる日本の軍事的空白を埋め合わせる事であり、法制度を整える時間的余裕はなかった*1
このため憲法解釈等を半ば無視して強引に設立されており、今日の自衛隊に至るまで様々な政治的禍根を残している*2
装備類の調達も不十分であったため*3、当初は訓練さえ思うように行えない状態であったという。

組織構成の概要

警察予備隊の組織概要は次の通りであった。

  • 内閣
    • 内閣総理大臣(最高指揮権を有していた)
    • 警察予備隊担当国務大臣
  • 警察予備隊本部(警察予備隊本部長官以下約100名)
    • 長官官房
    • 警務局
    • 人事局
    • 装備局
    • 経理局
    • 工務局
    • 医務局
    • 警察予備隊建設部
    • 警察予備隊地方建設部(全国4ヶ所)
  • 警察予備隊総隊(総隊総監以下約75,000名。実働部隊)
    • 総隊総監部
    • 4個管区隊(師団相当。各隊約15,000名)
    • 総隊総監部直轄部隊

余談

近年、ネット上(主に一部のブログ)で、アメリカ軍の攻撃で在来政権が崩壊したアフガニスタンやイラクなどで、親米派政権によって作られた軽武装の治安維持組織を(かつての日本での経緯になぞらえて)「警察予備隊」と呼称しているものが散見されているという。


*1 当時の連合国軍総司令官ダグラス・マッカーサーが、同じく当時の首相である吉田茂に書簡を送ってから2ヶ月足らずで創立されている。
*2 「恵庭事件」「百里基地訴訟」「長沼ナイキ事件」など
*3 主に米軍からの貸与品と、連合国軍に接収された旧軍装備の一部を利用していた

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