【軍法会議】(ぐんぽうかいぎ)

軍隊の組織のひとつで、主として軍人及び軍属が関与した事件についての裁判を担当する機関。

基本的に、平時の事件を取り扱う「常設軍法会議」と戦時、最前線において随時開かれる「特設軍法会議」の二つがある。
前者は一般の裁判所と同様、法曹に関する資格を有した法務官が事件の審理を取り扱い、これに現役軍人から選ばれる「判士(日本軍の制度にあったもの)」や陪審員などが参加する。
また、一般の裁判と同様に審理は原則公開で行われ、被告人には弁護人をつけることや上級機関への上告も認められている。

これに対し後者は、少尉以上の職階にある士官が3人以上いればいつでもどこでも開催可能であり、(主にスパイ行為や敵前逃亡、命令不服従などの事件を取り扱うものであったことから)恣意的な判決が下されることが多かった。
しかも弁護・公開・上告は認められず、即時判決で即時処刑となることが多く、ハーグ陸戦条約で禁じられている「虐殺行為」を正当化するための言い訳としても利用されていた。
(また後年には、そのことから「暗黒裁判」の代名詞として使われるようにもなった)


ちなみに現在の自衛隊では(日本国憲法で「特別裁判所」の設置が禁じられている、との理由から)軍法会議は設置されていないが、そのことから「有事の際の敵前逃亡を正当に裁けない」として、憲法改正により軍事裁判所の設置を求める主張がある。
反面、「終審として最高裁判所の判断を仰ぐという形を取れば、現在の憲法下でも軍法会議を設置することは可能」という論もある。
(実際、アメリカ軍の軍法会議も連邦最高裁判所が終審として関与する)


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