【軍隊】(ぐんたい)

国家の安全と独立を守るため*1の人員、装備、施設などの集合組織のこと。
その存在を誇示し、戦争を抑止するところに最大の意義がある。

通常、国民は軍隊に一定期間入隊する義務(兵役)があり、適正年齢になると招集(徴兵制度)される。
武力による威嚇や戦争の遂行以外にも、警察、消防、公共工事、災害対応など様々な役割を兼務する場合もあり、発展途上国の多くでは、貧困層の青少年が教育を受ける機会として兵役が利用されるなど、その役割は非常に大きい。

ただし、近年では軍事革命の進展に伴って、国民の義務としての徴兵を縮小もしくは撤廃し、「職業としての選択肢の一つ」としている国が(先進国を中心に)増えている。

階級

軍隊には上下関係と指揮系統の格付け制度である「階級」が存在する。
おもに階級はほとんどの軍隊では「士官(あるいは将校)」、「下士官」、「兵」に分類されるが、国家によって階級の数や階級の名称はさまざまである。

士官・将校(officer)
士官学校で、用兵・統率などの士官教育を受けた軍人で、士官・将校でも「将官」、「佐官」、「尉官」の3種類に分類される。
  • 将官(General/Admiral)
    一般的に「大将」・「中将」・「少将」の3区分に分けられるが、国によって大将の上に「上級大将」が設けられたり、少将の下に「准将」が設けられたりと4区分以上設置されていたりする。
    将官は主に、陸軍では軍司令官や師団長、海軍では一定規模の艦隊の司令官、空軍では航空団の指揮官を務めたりする。
  • 佐官(Field officer)
    一般的に「大佐」、「中佐」、「少佐」の3区分に分けられるが、大佐の上に「上級大佐」が設けられたり、さらに海軍においては、将官の代理として大佐の上に「代将」が設けられたりする。*2
    また、希に少佐の下に「准佐」が設けられたりするが、現実の軍隊では尉官・佐官に地位や権限上の差はあまり無く、この階級を設けている軍隊は少ない。
    主に、陸軍では連隊大隊の指揮官や参謀海軍では艦艇の艦長や副長、航海長・機関長などの、艦に設けられる各科長など、空軍では主に飛行群や飛行隊の指揮官や参謀を務める。
  • 尉官(Company officer)
    一般的に「大尉」、「中尉」、「少尉」の3区分に分けられるが、大尉の上に「上級大尉」が設けられたりと3〜4区分から成る。
    士官学校を卒業した職業軍人が任官する最初の階級で、主に陸軍では中隊小隊の指揮官や幕僚、海軍では軍艦の分隊長や分隊士(分隊長補佐)など、空軍では航空機の操縦士などを務める。
准士官(Warrant officer)
下士官出身で、士官に準じる待遇を受ける軍人の分類。階級名としては「准尉」などが用いられる。
下士官(Noncommissioned officer/(Chief)Petty officer)
「士官」の下、「兵」の上に位置する区分で、士官の指揮の下、他の軍の構成員を監督する管理権限を許可され、重要な監督責任を負う。
軍歴は士官学校や幹部候補生学校を経て軍人になった尉官よりも、「兵」からコツコツと登り詰めた下士官のほうが長いものが多い。
そのため、上級下士官が公式に持つ責任と受ける敬意は尉官にも勝るにも劣らないことが多い。
一般的に「曹長」、「軍曹」、「伍長」の3区分に分けられるが、アメリカの「最先任上級曹長」などのように准士官の階級は専門職に対する階級とし、最も功績のある下士官に対する階級を下士官にとどめておく場合がある。
そのため、下士官の階級区分は国によって3〜5区分以上になる。
兵(Soldier/Private)
下士官の下に位置する階級区分で、士官及び下士官の指揮命令を受けて任務を遂行する(指揮権限はない)。
一般に「兵長」、「上等兵」、「一等兵」、「二等兵」の4区分に分類される。
 
階級アメリカ軍NATO階級コード大日本帝国軍陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊
士官元帥OF-10元帥大将(該当なし)
将官大将OF-9大将陸将(甲)海将(甲)空将(甲)
中将OF-8中将陸将(乙)海将(乙)空将(乙)
少将OF-7少将陸将補海将補空将補
准将OF-6(該当なし)一等陸佐一等海佐一等空佐
佐官大佐OF-5大佐
中佐OF-4中佐二等陸佐二等海佐二等空佐
少佐OF-3少佐三等陸佐三等海佐三等空佐
尉官大尉OF-2大尉一等陸尉一等海尉一等空尉
中尉OF-1中尉二等陸尉二等海尉二等空尉
少尉少尉三等陸尉三等海尉三等空尉
准士官5等准尉WO-5(該当なし)
4等准尉WO-4
3等准尉WO-3
2等准尉WO-2
1等准尉WO-1
下士官最先任上級曹長OR-9准尉/兵曹長准陸尉准海尉准空尉
部隊等最先任上級曹長
上級曹長
一等曹長OR-8(該当なし)陸曹長海曹長空曹長
曹長
一等軍曹OR-7曹長/上等兵曹一等陸曹一等海曹一等空曹
二等軍曹OR-6軍曹/一等兵曹二等陸曹二等海曹二等空曹
三等軍曹OR-5伍長/二等兵曹三等陸曹三等海曹三等空曹
伍長OR-4兵長/水兵長陸士長海士長空士長
特技兵
上等兵OR-3上等兵/上等水兵一等陸士一等海士一等空士
一等兵OR-2一等兵/一等水兵二等陸士二等海士二等空士
二等兵OR-1二等兵/二等水兵(該当なし)*3

*1 当たり前であるが、世界の全ての軍隊は自国を守るために存在する。最初から侵略を目的とする軍隊は存在しない。あくまで攻撃を防ぐための手段として、敵国を攻撃しているのである。
*2 しかし、代将はあくまでも将官ではない。
*3 2010年10月31日までは「三士」が存在した。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS