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【軍艦旗】 †
海軍の艦艇において、その所属する軍をあらわす標識として用いられる旗。
海軍艦艇はこの旗を掲揚することにより、国際法規上に定められた「軍艦」としてのさまざまな取扱を受けることができる。
(海軍においては個々の軍艦が基本的な戦闘単位となることから)陸軍における「連隊旗(軍旗)」と性格は似ているが、海上における「標識」であることが重視されるため、その取扱は陸軍の軍旗とは異なる部分が多々ある。
(予備が複数枚あり、汚れたり破れたりしたら随時取り替えられる、など)
その取り扱い方法は、国際慣習でおおむね次のように定められている。
- 停泊中は午前8時から日没まで、航海中は常に艦尾旗竿に掲揚する。
- 旗の掲揚・降下は当直将校が指揮して行う。
- 軍艦付属の搭載艇やボートに軍艦旗を掲げた場合は、軍艦に準じて取り扱われる。
- 戦闘に際しては艦尾の軍艦旗を降下して旗竿を折りたたみ、メインマストに軍艦旗を掲揚して「戦闘旗」とする。
また、停泊中には軍艦旗とは別に艦首の旗竿に「艦首旗」という旗が掲揚される。
自衛艦旗 †
海上自衛隊では、諸国の軍艦旗に相当する旗を「自衛艦旗」と呼称し、自衛艦は諸外国の軍艦と同様、航海中(水上艦に限る)及び停泊中の昼間、これを艦尾の旗竿に掲揚している。
(ただし「おおすみ」型輸送艦に搭載のLCACは、艇体に自衛艦旗のデザインが直接マーキングされているため、旗の掲揚を省略している*1。)
現在の自衛艦旗は、太陽をあらわす赤い丸の周囲に16本の光線を配した「十六条旭日旗」という意匠の旗*2で、自衛艦竣工時の「自衛艦旗授与式」にて(自衛隊の最高指揮権を有するとされる)内閣総理大臣から交付を受け、除籍もしくは支援船に種別を変更した際に返納されることとなっている。
その規格は、次の通りとされている。
縦横比 | 2:3 |
日章の直径 | 縦の1/2 |
日章の中心位置 | 旗の中心から左辺に1/6寄ったところ |
光線の幅・間隔 | 日章の中心位置から11.25度に開いた広さ |
生地 | 麻もしくはナイロン |
彩色 | 地は白色。日章及び光線は紅色 |
なお、自衛艦に掲げられる艦首旗は、日本国の国旗と同様の日章旗と定められている。
諸外国の軍艦旗 †
海軍を擁する各国では、国旗とは別の軍艦旗を制定しているところが多い。
以下にその一例を示す。
*1 エアクッション艇1号の項にもあるように、他の艦と同様に自衛艦旗を掲げると、ダクテッドファンによって隠れてしまったり、布地がプロペラブレードに巻き込まれたりする危険もあるためだという。
*2 日本国の国旗である日章旗をもととしたもので、旧海軍の軍艦旗と同じ意匠でもある。
*3 白地に赤十字、その左上部に連合旗をあしらった旗。
*4 ホワイト・エンサインの地の部分を青色にした旗。