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*&ruby(ぐんかんき){【軍艦旗】}; [#j69a0180]

[[海軍]]の[[艦艇]]において、その所属する軍をあらわす標識として用いられる旗。~
海軍艦艇はこの旗を掲揚することにより、国際法規上に定められた「軍艦」としてのさまざまな取扱を受けることができる。~
[[海軍]]の[[艦艇]]が所属をあらわす標識として用いる旗。~
国際法上の原則として、これを掲揚しない艦艇は軍艦として認められない。~
また逆に、[[内火艇]]や[[カッターボート]]でも軍艦旗を掲げていれば法的には軍艦とみなされる。
>「合法な軍艦と認められない武装船舶」とは、すなわち[[海賊船>海賊]]である。

その性質上、標識として厳重に管理される。~
汚れや破損による誤認が生じないよう、常に万全に整備され、予備も用意される(この点、国際慣習に関連しない[[陸軍]]の[[軍旗]]とは様相が異なる)。~
~
(海軍においては個々の軍艦が基本的な戦闘単位となることから)陸軍における「連隊旗([[軍旗]])」と性格は似ているが、海上における「標識」であることが重視されるため、その取扱は陸軍の軍旗とは異なる部分が多々ある。~
(予備が複数枚あり、汚れたり破れたりしたら随時取り替えられる、など)~
~
その取り扱い方法は、国際慣習でおおむね次のように定められている。~
-停泊中は午前8時から日没まで、航海中は常に艦尾旗竿に掲揚する。
-旗の掲揚・降下は当直将校が指揮して行う。
-軍艦付属の[[搭載艇>内火艇]]やボートに軍艦旗を掲げた場合は、軍艦に準じて取り扱われる。
-戦闘に際しては艦尾の軍艦旗を降下して旗竿を折りたたみ、メインマストに軍艦旗を掲揚して「戦闘旗」とする。
その取り扱いは、国際慣習でおおむね次のように定められている。~

また、停泊中には軍艦旗とは別に艦首の旗竿に「艦首旗」という旗が掲揚される。
-停泊中は午前8時から日没まで、航海中は常に艦尾に掲揚する。
-停泊中は軍艦旗とは別に「艦首旗」として艦首の旗竿に国籍識別の旗を掲揚する。~
-戦闘中は軍艦旗とは別に「戦闘旗」として軍艦旗と同じ図柄の旗をメインマストに掲揚する。~
なおこの時、艦尾の軍艦旗は降下させて旗竿を収納する。
-艦長ないしその代理(副長もしくは[[当直士官>士官]])の権限を以て命じた時を除き、掲揚・降下してはならない。
-軍艦旗を掲揚・降下する際、その艦の全乗組員、および目撃した海軍将兵は敬礼を行う。~
艦橋や露天甲板にいる者はその旗に対して挙手の礼を行い、その他の場所にいる者は起立して姿勢を正す敬礼を行う。
-民間船舶は軍艦とすれ違う際、マストに掲げた国旗を半下して敬礼を示す(「半旗」)。~
-民間船舶の敬礼を受けた軍艦は軍艦旗を半下して答礼し、併せて国際信号旗「U」「W」を掲揚する(「安航を祈る」の意)。

**自衛艦旗 [#tc394277]
[[海上自衛隊]]では、諸国の軍艦旗に相当する旗を「自衛艦旗」と呼称し、自衛艦は諸外国の軍艦と同様、航海中(水上艦に限る)及び停泊中の昼間、これを艦尾の旗竿に掲揚している。~
(ただし「[[おおすみ]]」型[[輸送艦]]に搭載の[[LCAC>エアクッション艇1号]]は、艇体に自衛艦旗のデザインが直接マーキングされているため、例外的に旗の掲揚を省略している。)~
~
現在の自衛艦旗は、太陽をあらわす赤い丸の周囲に16本の光線を配した「十六条旭日旗」という意匠の旗((日本国の国旗である日章旗をもととしたもので、旧海軍の軍艦旗と同じ意匠でもある。))で、自衛艦竣工時の「自衛艦旗授与式」にて([[自衛隊]]の最高指揮権を有するとされる)内閣総理大臣から交付を受け、除籍もしくは支援船に種別を変更した際に返納されることとなっている。~
その規格は、次の通りとされている。~
,縦横比,2:3
,日章の直径,縦の1/2
,日章の中心位置,旗の中心から左辺に1/6寄ったところ
,光線の幅・間隔,日章の中心位置から11.25度に開いた広さ
,生地,麻もしくはナイロン
,彩色,地は白色。日章及び光線は紅色
~
なお、自衛艦に掲げられる艦首旗は、日本国の国旗と同様の日章旗と定められている。
なお、一部の[[艦艇]]は艦の構造上、上記の慣習に従うのが困難である。~
そのような場合、必要な時に軍艦旗の図案が視認できれば良いものとされる。

**諸外国の軍艦旗 [#e1f05bf8]
[[海軍]]を擁する各国では、国旗とは別の軍艦旗を制定しているところが多い。~
:[[潜水艦]]の場合|誰にも視認できない潜航中に旗を掲げる事はない。~
浮上時には慣習に従って旗を掲揚するが、船体構造が旗を掲げられるように出来ていないため、司令塔のハッチ付近に臨時に竿を立てて掲揚する。~
:[[エアクッション艇]]の場合|安全上の理由から旗を掲揚できないため、船体の目立つ箇所に軍艦旗の図案を塗装して代替とする。

関連:[[Z旗]]

**諸国の軍艦旗 [#k69405ad]
特に理由がなければ、軍艦旗には国旗を用いる。~
しかし、いくつかの[[海軍]]は国旗とは別の軍艦旗を制定している。~
以下にその一例を示す。~

:[[アメリカ海軍]]|軍艦旗は国旗と同じ「星条旗」。艦首旗は星条旗の左上部分を取り出した図案の旗。
:英国海軍|軍艦旗は「ホワイト・エンサイン」((白地に赤十字、その左上部に連合旗をあしらった旗。))。艦首旗は連合旗(ユニオン=ジャック)。
:[[アメリカ海軍]]|帆船・錨・鷲をあしらった、図案というより紋章に近い独特な軍旗を用いる。~
また、国旗の図案として「属する州の数に等しい星」を用いる性質上、歴史的に国旗が一定しない。~
国籍識別に際しては13本の紅白のストライプ、または青地に星を散りばめた図案が用いられる。~
また、現役最古の艦は特別に、紅白ストライプにガラガラヘビと標語"DON'T TREAD ON ME"をあしらった独立戦争当時の図案の旗、通称『OLD NAVY JACK』を掲揚する。
:ロイヤルネイビー(英国海軍)|軍艦旗は白地に赤十字、左上部分にユニオン=ジャックをあしらった「ホワイト・エンサイン」。~
艦首旗はユニオン=ジャック。~
また、[[予備役]][[士官]]が指揮する商船では軍艦旗の白地を青に置き換えた「ブルー・エンサイン」を掲げる。
:ロシア海軍|17世紀末、ピョートル大帝が白地に青十字の「聖アンドレイ旗」を軍艦旗と定めた。~
ソビエト連邦ではこの伝統が破棄されたが、ソ連崩壊後は再び聖アンドレイ旗を掲げている。
:日本([[海上自衛隊]])|赤い丸の周囲に16本の紅白ストライプを配した「十六条旭日旗」を軍艦旗とする。~
[[海上自衛隊]]は軍艦旗を「自衛艦旗」と称しているが、これは官僚制度上の言葉遊びであり、国際慣習において自衛艦旗は軍艦旗である。~
国内慣習上、十六条旭日旗は国旗として扱われる。~
艦首旗には正規の国旗(「日章旗」)を用いる。


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