【空包】(くうほう)

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弾頭の付いていない弾薬。撃っても音が出るだけである。
主な用途は訓練及び礼砲であるが、動物への威嚇や時報(詳細は後述)にも用いられる。

実包と同じく、雷管を取り付けた薬莢に装薬を詰めて作られるが、弾頭だけは付けずワックス等で蓋がしてある。
自動銃の回転機構を正常に動作させるには反動やガス圧が足りないので、手動で排莢・装填を行うが、ブランク・アダプターなどを取り付ければ実包同様に作動させることもできる。

午砲(ごほう)

Time Gun/Noon-day Gun.
一定の時間に、大砲に詰めた空包を撃って近隣地域に時間を告知するもの。
日本では毎日正午に撃つことが多かったため「午砲」(または発砲音から「ドン」とも)と呼ばれたが、外国では1日数度撃つ例もある。

元々、英国の海外進出が盛んになった18世紀末頃から、港に停泊する船舶に正確な時間を告知するためにはじまったもので、その後、英国植民地の港を中心に世界中に広まった。
しかし、市内に音を響かせるには結構な騒音になり、また、装薬の使用量も多く経費がかかるという欠点があり、時計の精度が向上した20世紀前半には廃れてしまった。

日本では1871年(明治4年)に午砲の制度が発足し、大都市を中心に午砲台(午砲所)が設置され、主に陸軍が運用を行っていた*1
しかし、第一次世界大戦終結後の大正中期、軍縮で経費の削減が余儀なくされたため陸軍が運営から手を引き、順次廃止されてしまった。


*1 東京をはじめ、師団の置かれた都市を中心に実施されたが、後に海軍や測候所、自治体も参画する。

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