【空軍】(くうぐん)

Air Force.

航空機および大型・長射程のミサイルを主に運用する軍隊
主任務は航空優勢の確保、空中からの偵察、航空機による兵站輸送、および航空支援である。

とはいえ、全ての軍用機が空軍の管轄にあるわけではない。
余所から空軍への派遣要請を行う官僚的な手続きは、実際の戦場でしばしば致命的な遅延を招く。
よって、陸軍海軍はそれぞれ、緊急事態や日常業務のために自前の軍用機を保有する。

陸軍近接航空支援空挺降下・緊急輸送のための航空部隊を保有する。
また、艦載機対潜哨戒機洋上救難機は基本的に海軍の管轄となる。

空軍の存在意義

空軍の存在意義は軍用機の一元的管理ではなく、多数の航空機を集中運用することにある。
言い換えれば、陸軍海軍による軍政的干渉ができない領域を作り出す意図である。
なぜそれが必要かと言えば、軍政上の折衝は湯水のように時間を浪費するからだ。

分散していた戦力を集結させようとすると、その度に会議と書類と兵站作業が山のように積み上がる。
それならば、必要な戦力を常時集結させておき、必要に応じて一時的に派遣した方が遙かに効率的である。
とはいえ派遣する事自体は非効率なので、定期的に必要になるような航空機は陸海軍の手元に残される。

こうした制度は運用上の合理性を追求した結果だが、紛れもなく派閥力学の産物である。
従って、官僚制度における避けがたい対立の温床でもある。

空軍から派生する軍種

防空軍
外征を想定しない空軍。戦闘機および地対空ミサイルでの防勢対航空作戦に特化する*1
宇宙軍
軍事衛星の運用・敵性人工衛星弾道ミサイルの排除に特化した軍種。
戦略ロケット軍
地上発射型弾道ミサイルの運用に特化した軍種。

*1 冷戦期の航空自衛隊は、性格的にはこれに近かった。
  そのためか、現在でも戦略輸送には難があるが、近年は長距離を飛べる輸送機(C-130C-2など)の導入で改善されつつある。


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