【急降下爆撃】(きゅうこうかばくげき)

航空機による空爆の方法のひとつ。
鋭角な角度*1で急降下しながら爆弾を投下した後、再上昇するか低空飛行で離脱する。

高射砲による被弾を避けるため、低空飛行での離脱を試みる場合が多い。
しかし、歩兵でさえ地対空ミサイルを携行している可能性のある現代戦ではこれは自殺行為に近い。

急降下という危険な挙動を行う関係上、高い運動性を備えた機体を特に用意しなければならない。
これは二十世紀前半の技術水準では決して容易な要求ではなく、急降下爆撃に特化した攻撃機が必要となった。

投下される爆弾も鋭角な軌道で落下するため滞空時間が短く、半数必中界を狭められる。
爆撃照準対応型のアビオニクスが登場するまでは、最も命中精度の高い精密な爆撃を行う方法だった。
第二次世界大戦でドイツ軍が基本的な航空戦術として採用し、大戦初期の電撃戦を支えた事で名高い。

一方、1000m以下の低高度から投下される事になるため爆弾位置エネルギーが低くなる。
このため防護された掩蔽壕艦艇に対する貫通力が低い。

現代では発達した高射砲地対空ミサイルに対して生存を期しがたい。
また、誘導爆弾巡航ミサイルが普及した現代では行う意義自体が薄く、ほとんど実施されていない。

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*1 浅ければ50度、深ければ60度。垂直降下は制御回復が不可能に近いため不可能。

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