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【橘花】
日本初にして、旧軍唯一の完成したジェット機。
1944年8月に大日本帝国海軍が中島飛行機に対して、ターボジェット搭載の特別攻撃機として開発を命じた。
Me262をもとに開発されたといわれるが、当時の日本へもたらされたのは参考図面のみで、実際の設計はほとんど中島飛行機の技術者たちによっておこなわれた。なので本機をMe262のコピーというのは不適当である。
Me262に比べ、後退角の非常に浅いテーパー翼?や、ずん胴な機体形状などが特徴である。
艦上機ではないが、防空壕へ収納するため主翼は折りたたみ式になっている。
当初は発動機としてネ12ターボジェットが予定されていたが、より強力なネ20が開発されて余力が生じたため設計変更がなされ、1号機の完成は1945年6月となった。
同年8月7日に木更津基地で初飛行し、同11日に爆装時の離陸補助火薬ロケットを取り付けての飛行試験を行ったが、主脚や制動装置を零戦?のものを流用していたのが災いし、滑走路をオーバーラン?して離陸失敗事故を起こして大破し、そのまま終戦を迎えた。
(パイロットの高岡迪氏の証言によれば、離陸速度に達したくらいで機体全体が前につんのめるような感じになり、ブレーキを踏んだらしい。しかし同時にそれを外から見ていた人は「前輪は既に浮き上がりかけていて、ましてつんのめってなどいない」と言っている)
推定最高速度は時速670kmと決して優れたものではなかったが、物資の欠乏した日本では、ガソリンを必要としないジェット機に対する期待が大きかった。
終戦時点で2号機は完成直前であり、他24機が製造中であった。
また同機を複座化した偵察機型や、エンジンをより強化して機関砲を装備した局地戦闘機の「橘花改」も計画されていた。