*&ruby(きたいきごう){【機体記号】}; [#e1eeb0b0]
aircraft registration.~
~
ある組織に属する[[航空機]]を識別するために与えられる、[[他と重複しない一意の記号>シリアルナンバー]]。~
「機体番号（機番）」「レジ」「レジスタ」「[[シリアル>シリアルナンバー]]」などとも呼ばれることがある。~
~
主として[[コックピット]]の付近・[[垂直尾翼]]・[[主翼]]などに記載される((日本の航空法では「胴体面と主翼面」あるいは「主翼面と尾翼面」の組み合わせで記載することが定められている。&br; また、これに加えて「機体フレームなどの交換不可能な構造部材に打刻すること」も定められている。))。~
かつては塗装により表記されるのが普通だったが、近年はステッカー式に変わっている。~
~
なお、日本の[[航空法]]上の規定では「国籍記号」「登録記号」と呼ばれる。~
>この「国籍」は二重に登録することはできず、（機体の輸出入などで）別の国の登録記号を取得する必要がある場合には、それまで与えられていた登録記号を抹消しなければならない。~
そのため、別の国の登録記号を取得するには、元の国が発行する「無国籍証明書」を相手国側に送付することでその国での登録が認められる。
**民間機の表記法 [#c674993c]
民間機の機体記号については、国際的に統一された表記法が存在する。~
国籍を表す英字1〜2文字と、国ごとに定めた区分で数字や英字4〜5文字を組み合わせて表記されている。~
~
例えば、現在の日本で登録を受けた民間機（警察・消防・[[海上保安庁]]や国土交通省で使用される機体も含む）には、後述の例外を除き「JA####（数字4桁）」「JA###*（数字3桁＋英字1字）」または「JA##**（数字2桁＋英字2字）」という表記がされている。~
「JA」が国籍を示し、後の「####」「###*」「##**」が国土交通省の規定によって定められた機体の固有番号である。~
***日本における機体記号の割り振り [#n2ce2260]
運輸省（国土交通省）では、民間機に対して、原則として以下のように「JA」の後に続く登録番号を割り振っている。~
一度使用された番号は、その機体が除籍された後は原則、再利用しないこととされている。~
>「海外に売却した機体を元のオーナーが買い戻して再登録する場合」「外国で修理するため抹消した機体を再登録する場合」には、抹消された番号が再度割り振られることもある。~
ただし、場合によっては一度抹消された番号が異なる機体に割り当てられることも少数ながらある。
|記号|数字の区分|機種|
|JA|0000〜0999|[[第三種滑空機>滑空機]]|
|~|1000〜1999|特殊機（[[飛行船]]など）|
|~|2000〜2999|[[第一種・第二種滑空機、動力滑空機（モーターグライダー）>滑空機]]|
|~|3000〜4999|[[単発>単発機]][[ピストン>レシプロエンジン]]機|
|~|5000〜5999|[[双発>双発機]]ピストン機|
|~|6000〜6999((この区分はもともと「[[多発>多発機]]ピストン機」に割り当てられていた番号だったが、該当する機体が全部除籍された後、（空き番が多数あったことから）ターボシャフト・ヘリコプターの機数増加に伴って開放された。))&br;9000〜9999|[[ターボシャフト]]・[[ヘリコプター]]|
|~|7000〜7999|ピストン・ヘリコプター|
|~|>|CENTER:※8000〜8999は「[[タービン>ガスタービン]]機」の番号とされているが、&br;細かくは以下の通り分類されている((後に登録機数・種類の増加により空き番号が枯渇して別の区分の番号を割り振らざるを得なくなり、この原則は事実上破綻してしまった。))。|
|~|8000〜8099|[[四発>多発機]]ジェット機（[[DC-8]]・[[B747]]等）|
|~|8100〜8199|大型四発ジェット機（当初は[[B747]]のみが対象）|
|~|8200〜8299|[[ターボプロップ]]四発機及び[[単発機]]|
|~|8300〜8399|三発ジェット機（[[B727]]等）|
|~|8400〜8499|[[双発>双発機]]ジェット機（[[B737]]等）|
|~|8500〜8599|大型三発ジェット機（[[DC-10]]・[[L-1011]]等）|
|~|8600〜8899|[[双発>双発機]][[ターボプロップ]]機（[[YS-11]]等）|
|~|8900〜8999|（未定義）|
~
しかし、1990年代以降は登録機数の増加（特にJA3000・8000番台及び9000番台）によって上記の4桁の数字のみではまかないきれなくなったため、現在はこれとは別個に、登録申請者（運航者）が自由に番号を選べる方式も取り入れられている((この方式で初めて登録されたのは、1993年に運輸省（現：国土交通省）航空局が登録した[[ガルフストリーム��]]（JA001G）だった（なお、同機は2018年に退役している）。))。~
この方式では「JA###*（3桁の数字（任意）+英字1字）」「JA##**（2桁の数字（任意）+英字2字）」という表記を使うことができる((ただし、英字の"I"、"O"、"S"は、数字の「1」「0」「5」と混同するため使用不可。&br; また、英字2字を使う場合は"CC"（[[管制>航空交通管制]]用語と混同するため）、"JA"（国籍記号と混同するため）も使用不可。))。~
また、[[大東亜戦争]]前は「J-****（「****」は英字）」という英国((英国では「G-****（*は英字）」という表記を用いている。))に似た表記法((たとえば[[神風号]]は「J-BAAI」、[[ニッポン号>九六式陸上攻撃機]]は「J-BACI」という具合だった。))であったが、戦後の1952年に民間航空が再開されたとき、現在の表記法に改められた。
***超軽量動力機・自作航空機などの登録記号の割り振り [#pd4cc8b5]
[[超軽量動力機]]や[[ジャイロプレーン>オートジャイロ]]、その他の自作航空機については上記の「JA」から始まる記号を使用せず「JR」「JE」「JX」から始まる6ケタの記号が以下の通り割り振られる。~
|記号|数字の区分|機種|
|JR|0201〜6ZZZ|超軽量動力機（舵面操縦型）|
|~|7001〜7ZZZ|同上（体重移動操縦型）|
|~|8001〜9ZZZ|同上（[[パラシュート>落下傘]]型）|
|JE|0001〜9ZZZ|[[ジャイロプレーン>オートジャイロ]]|
|JX|0001〜9999|上記以外の自作航空機|
**軍用機における表記法 [#z05e3d7f]
[[軍用機]]の機体記号は各国が独自に定めており、一部は軍事機密とされている。~
一例として[[アメリカ空軍]]・[[アメリカ海軍]]/[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]及び[[自衛隊]]（[[陸上自衛隊]]・[[海上自衛隊]]・[[航空自衛隊]]）のナンバー付与法を次に示す。~
~
***アメリカ空軍式付与法 [#b57694ef]
アメリカ空軍機では機体発注年度の下2桁と、その年度に発注された何番目の機体であるかを併記して機体記号としている(([[E-3]]には海軍のビューロナンバーに似た[[製造ナンバー>シリアルナンバー]]も与えられている。))。~
たとえば「88-0465」であれば「1988会計年度（1988年9月〜1989年8月）の予算で465番目に発注された機体」となる。~
***アメリカ海軍/海兵隊式付与法 [#o313fd84]
[[アメリカ海軍]]機、および[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]機の機体記号は、空軍とは違って単純に「納入された順」に通し番号を付けていく方式で、「[[ビューロナンバー]]」と呼ばれる。~
2011年時点で168,000番を突破しているが、150,000番以前の機体は全て[[用途廃棄]]となっている。~
~
***陸上自衛隊式付与法 [#sec36513]
陸上自衛隊機は5桁の数字で機体記号としており、機種ごとに以下のように割り振っている。~
また、機体後部には「JG-####（番号の下4桁）」と表記されている。
|型式|番号|
|[[AH-64D>AH-64]]|74501〜74513|
|[[AH-1S>AH-1]]|73401〜73492|
|[[CH-47J>CH-47]]|52901〜52934|
|[[CH-47JA>CH-47]]|52951〜52981|
|[[UH-60JA>UH-60]]|43101〜43137|
|[[UH-1J>UH-1]]|41801〜41930|
|[[OH-1]]|32601〜32638|
|[[EC-225LP>シュペルピューマ]]|01021〜01024|
|[[TH-480B>エンストロム480]]|62351〜62380|
|[[LR-2]]|23051〜23057|
|[[V-22]]|91701〜91709|
***海上自衛隊式付与法 [#we3efea9]
海上自衛隊機は、下記の通り4桁の数字のみで機体記号としており、機種ごとに以下のように割り振っている。~
|分類|種別|型式|番号|
|[[固定翼機]]|[[哨戒機]]|[[P-3C>P-3]]|5001〜5109|
|~|~|[[P-1]]|5501〜5599|
|~|多用途機|[[OP-3C>P-3]]|9131〜9149|
|~|~|[[UP-3C>P-3]]|9151〜9159|
|~|~|[[UP-3D>P-3]]|9161〜9169|
|~|~|[[EP-3>P-3]]|9171〜9189|
|~|~|[[UP-3C>P-3]]|9151〜9159|
|~|~|[[U-36A>リアジェット35]]|9201〜9219|
|~|~|[[UP-1>P-1]]|9501〜9509|
|~|[[救難機]]|[[US-2]]|9901〜9919|
|~|[[輸送機]]|[[C-130R>C-130]]|9051〜9059|
|~|[[連絡機]]|[[LC-90>キングエア]]|9301〜9319|
|~|[[練習機]]|[[T-5]]|6301〜6399|
|~|~|[[TC-90>キングエア]]|6801〜6849|
|[[ヘリコプター]]|[[哨戒ヘリコプター>対潜ヘリコプター]]|[[SH-60J>SH-60]]|8201〜8399|
|~|~|[[SH-60K>SH-60]]|8401〜8599|
|~|掃海・輸送ヘリコプター|[[MCH-101>AW101]]|8651〜8679|
|~|救難ヘリコプター|[[UH-60J>UH-60]]|8961〜8999|
|~|多用途ヘリコプター|[[CH-101>AW101]]|8191〜8199|
|~|~|[[USH-60K>SH-60]]|8901〜8909|
|~|練習ヘリコプター|[[TH-135>EC135]]|8801〜8849|
***航空自衛隊式付与法 [#ca3b0703]
航空自衛隊機の機体記号はアメリカ空軍の方式と同様に「2桁-4桁」標記であるが、以下のように定めている。~
なお、型式名が '''斜体表示''' になっているものは2020年現在、全機[[用途廃棄]]されているものである。
:1桁目|機体納入年（西暦）の下1桁
:2桁目|機種&br; 0:'''[[F-1]]''' /'''[[B-747-400>B747-47C]]''' /[[B-777-300ER>B777-3SBER]]&br; 1:'''[[T-3]]''' /[[T-400>MU-300]]&br; 2:[[YS-11]]/[[F-15J/DJ>F-15]]((J型1・2号機、DJ型1〜10号機は[[マクダネル・ダグラス]]社製のため、アメリカ空軍の機体ナンバーも与えられている。))/[[U-680A>セスナ・サイテーション]]&br; 3:'''[[MU-2]]''' /[[U-125A>U-125]]/[[F-2>F-2（日本）]]&br; 4:'''[[V-107>CH-46]]''' /[[E-2C/D>E-2]]((本機には、これとは別にアメリカ海軍のビューロナンバーも与えられている。))&br; 5:'''[[T-1]]''' /[[C-130]]/[[U-4>ガルフストリーム��]]&br; 6:[[T-4>T-4（日本）]]&br; 7:[[F-4EJ/EJ改/RF-4E/EJ>F-4]] /[[CH-47J>CH-47]]&br; 8:[[C-1>C-1（日本）]]/[[UH-60J>UH-60]]/[[C-2>C-2（日本）]]&br; 9:'''[[T-2>T-2（日本）]]''' /[[U-125]]/[[F-35A>F-35]]
:3桁目|機体の主任務&br; 1:[[輸送機]]&br; 3:汎用機&br; 4:[[ヘリコプター]]&br; 5:[[練習機]]&br; 6:[[偵察機]]&br; 8:[[戦闘機]]
:4〜6桁目|用途及び機種ごとに予約された一連番号((コックピットにはこの数字が標記されている。))&br; 001〜:[[C-1>C-1（日本）]]/[[U-125A>U-125]]&br; 031〜:[[U-680A>セスナ・サイテーション]]&br; 041〜:[[U-125]]&br; 051〜:[[F-15DJ>F-15]]/[[T-400>MU-300]]&br; 071〜:[[C-130]]&br; 091〜:'''[[B-65>クイーンエア]]'''&br; 101〜:'''[[T-2>T-2（日本）]]''' /'''[[B-747-400>B747-47C]]'''/[[F-2B>F-2（日本）]]&br; 111〜:[[B-777-300ER>B777-3SBER]]&br; 151〜:[[YS-11]]&br; 201〜:'''[[MU-2]]''' /'''[[F-1]]''' /'''[[T-33A>T-33]]''' /[[C-2>C-2（日本）]]&br; 251〜:[[U-4>ガルフストリーム��]]&br; 301〜:[[F-4EJ/EJ改>F-4]]&br; 451〜:[[E-2C>E-2]]&br; 471〜:[[CH-47J>CH-47]]/[[E-2D>E-2]]&br; 501〜:[[F-2A>F-2（日本）]]/[[E-767]]&br; 551〜:[[UH-60J>UH-60]]&br; 601〜:[[T-4>T-4（日本）]]&br; 701〜:[[F-35A>F-35]]&br; 801〜:'''[[V-107>CH-46]]''' /[[F-15J>F-15]]/'''[[T-1A>T-1]]'''&br; 851〜:'''[[T-1B>T-1]]'''&br; 901〜:[[RF-4E/EJ>F-4]]
このため、「02-8801」とあれば「1980年に納入された[[F-15J>F-15]]の第1号機」、「69-8701」とあれば「2016年に納入された[[F-35A>F-35]]の第1号機」、「80-1111」とあれば「2018年に納入された[[B-777-300ER>B777-3SBER]]の第1号機」となる。
