【機甲部隊】(きこうぶたい)

Armored Corps.

戦車戦を行う事を前提として構成された機械化部隊
師団の全兵力を機甲部隊として編成する場合(機甲師団)と、一般の師団内に支援戦力として配備する場合がある。
完全な機甲師団の場合、多くの人員が兵站に割かれるため、実働戦力は数個の連隊程度に限られるのが普通。

車種や兵科によって異なるが、戦車の運用にはおおむね1輌あたり10人程度の人員を必要とする。
従って、戦力単位としては、機甲部隊では1個小隊ごとに3〜4輌の戦車を運用できる事になる。
戦車中隊であれば10輌前後、戦車大隊は30〜40輌、戦車連隊は100輌程度の戦車を運用できる。

多大な鉄量を集中的に投入するため、正面対決でこれを退ける事ができるのは同じ機甲部隊のみである。
一方、人間が防護された車内に閉じ籠もる事によって知覚力が大きく損なわれ*1ゲリラ戦に対して脆弱である。
また、戦車狩りの的になるのを避けるため、味方の航空優勢が不可欠である。

極めて多大な運用コストを必要とするため、必要十分な規模の機甲部隊を維持するのは困難である。
特に冷戦終結以降、多くの国が第三世代主力戦車への対応を諦め、装備更改の停止・延期を決断している。
中小国にあっては機甲部隊を完全に廃止した、またはそもそも有していない事も珍しくない。

現代の場合、機甲部隊の戦力の中核になるのは主力戦車である。
火力支援を必要とするため、機械化された自走砲による砲兵部隊も編成される。
歩兵戦闘車装甲兵員輸送車に分乗した歩兵も随伴し、CQBなどの各種浸透任務を担当する。
また、偵察工兵についても専用の車両を用意して機械化される。
基本的には前線に向かう兵員全てが装甲車両で守られるが、予算や手間の問題から軽車両が含まれる場合もある。


*1 装甲を貫通できない非力な拳銃での応戦でも、それで乗員がパニックを起こして車外に飛び出し射殺される事があり得る。
  実際、それが事実上無害な銃撃なのか、滑腔砲付属のスポッティングライフルなのかは車内からでは判別困難である。


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