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*&ruby(きせいせんとうき){【寄生戦闘機】}; [#j58a14c6]
Parasite fighter.~
かつて構想されていた[[戦闘機]]の運用形態。~
大型の航空機([[爆撃機]]・[[輸送機]]・飛行船など)に[[戦闘機]]を搭載し、哨戒が必要な場合にのみ分離して護衛を務める、というものである。~
大型の航空機([[爆撃機]]・[[輸送機]]・飛行船など)に[[戦闘機]]を搭載し、[[哨戒>戦闘空中哨戒]]が必要な場合にのみ分離して護衛を務める、というものである。~
~
[[戦闘機]]の[[航続距離]]を伸ばす方法の一案として研究されていた。~
この運用思想の多くは黙殺・却下されたが、1950年代には[[空中給油]]として結実する事となる。

**解決できなかった技術的課題 [#n73fb7ee]
そもそも寄生戦闘機が考案されたのは、当時の[[戦闘機]]が[[航続距離]]に劣っていたためである。~
速度と燃費は常に[[トレードオフ]]の関係であるため、敵に追いつく優速を持つ[[戦闘機]]は常に持続力に劣る。~
しかし、それでは[[攻勢対航空作戦]]で敵機を迎撃・撃破する役割を果たせないことになる。~
一方で[[航続力>航続距離]]を得るには[[燃料]]を多く搭載せねばならず、速度が犠牲になってしまう。~
こうした矛盾を放置していては、戦闘機本来の役割である「[[攻勢対航空作戦]]で敵機を迎撃・撃破する」役割を果たせないことになる。~
~
この問題を解決するため、より巨大な航空機に搭載する、という発想から生まれたのが寄生戦闘機であった。~
この矛盾を解決するための一策として「([[航空母艦]]と[[艦上機]]の関係のように)より巨大な航空機に搭載することで、燃料消費を節約しつつ空戦力を得る」という発想から生まれたのが寄生戦闘機であった。~
しかし、この発想にはいくつかの根本的な問題点があった。~
~
まずもって問題なのは、搭載母機への負担であった。~
[[ペイロード]]の使い道として、戦闘機一機を丸ごと搭載するのは通常、あまり合理的ではない。~

-搭載母機への負担~
大型航空機の[[ペイロード]]の使い道として「戦闘機一機を丸ごと搭載する」のは通常、あまり合理的ではない。~
戦闘機一機を載せられる余裕があるなら、同じ重量分の対空装備を母機に設置する方が生存性が高まるだろう。~
あるいは重量を空けて機体の[[運動性]]を高めた方が良いかもしれない。~
~
また、[[戦闘機]]の性能はその重量と不可分な関係にある。~

-戦闘機の性能と重量との関係~
[[戦闘機]]の性能は、その重量と不可分な関係にある。~
一般に軽い方が有利とされる速度でさえ、[[運動性]]を支える頑強な構造なくしては実現できない。~
寄生戦闘機は母機に対応するための重量制限があるため、通常の戦闘機に比べて性能面で劣悪になる事を避けられなかった。~
~
最後に「母機から分離して発進し、事後に空中で母機に接続される」という動作は極めて難しく、そのまま衝突事故を起こして母機・子機ともに[[墜落]]するリスクは決して低くなかった。~
また、この独特な操作は機種転換訓練を長期化させ、[[再編成]]を困難なものにする。

-操縦の難しさ~
「空中で母機から分離して発進し、事後に空中で母機に再接続される」という動作は、[[操縦士>エビエーター]]に極めて高い技量が必要とされる操作であり、そのまま衝突事故を起こして母機・子機ともに[[墜落]]するリスクは決して低くなかった。~
また、この独特な操作を習得するには長期の機種転換訓練を必要とし、[[再編成]]はより困難なものになった。

こうした技術的問題を解決することができず、[[空中給油]]の実用化に伴って寄生戦闘機は廃れることになった。


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