【基準排水量】(きじゅんはいすいりょう)

船舶の重量を表す数値・排水量の計測方法のひとつ。
時代により「基準」は異なる*1が、一般には満載排水量から燃料と予備缶水(水)の重量を差し引いた値である。
艦艇艦隊の戦闘能力の指標として用いられるため、直接戦力に寄与しない要素は差し引かれる。

燃料と予備缶水(水)の重量を差し引いた値」という基準の初出は、1922年の「ワシントン海軍軍縮条約」。
同条約の締結に際し、条約を履行する前提として、各国の海軍戦力(艦艇艦隊の戦闘能力)を測る公平な基準が必要となり「基準排水量が同等なら、その艦隊の戦力も同等である」という前提で条約が結ばれた*2

もちろん、この前提は間違っていたのだが、条約当事国はこれを黙殺した。
技術的工夫によって自国だけ相対的に強い海軍を保持できる見込みがあったからだ。

このように、政治的な都合から制定された数値であるため、実際の運用では参照する価値のない数値である。
このため、現代ではより実用的な観点から満載排水量を用いて表記するのが一般的である。


*1 たとえば、海上自衛隊では何らかの基準に基づくであろう基準排水量での表記を行っている。
 一説には算定するための「内規」があるというが、部外秘につき詳細は不明。

*2 一説には、仮想敵国から想定される作戦海域が広大な英米が不利にならないように定められた、とも言われている。

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